山陰の水路沿いにハナタデの花が咲いていました。
といってもぱっちりと咲いている花はありません。
開きかけのような花がまばらに咲いています。
こんな地味な花なのに,花を称えるハナタデの名がついているのは不思議な感じがしますね。
『牧野新日本植物図鑑』には「ヤブタデ」として載っていて,通称の「ハナタデ」は誤称であるとしています。
しかし今は「ハナタデ」の方が多く使われているようです。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,ハナタデについて次のように書いてありました。
464. やぶたで 〔たで科〕
Polygonum Yokusaianum Makino
( =Persicaria Yokusaiana Nakai)
山野にはえる1年生草本で,茎の高さは50cm前後,下部ははわないで直立し,枝を出し,茎の質は軟く,細長い円柱形である。葉は互生で,葉柄があり,卵状皮針形または楕円状皮針形で,上部が急にせまばり,先端は長く尖り,基部は鋭形,両面に毛がまばらに生え,葉質は軟かで薄く,葉面に時に黒色の斑紋がある。さや状の托葉にはふちに長い毛が並んで生えている。秋,茎の先の枝端に,直立した長さ2~5cmの細長い穂状様の花穂を出し,まばらに淡紅色の小花をつける。苗の生育状態により,穂につく花の疎密も一様ではなく,また,花色も濃淡がある。がくは5個に深裂し,長さ1.5~2mmぐらい,初め正開し,小形であるが,やや梅花状である。花弁は無い。おしべは7~8個で,がくより短い。子房は紡錘状楕円形で,花柱は3個ある。そう果は広楕円形で, 3稜があり,長さ1.5mmぐらい,宿存がくに包まれている。本種はイヌタデに似ているが,茎が直立し,葉が広く,花がまばらなのですぐ区別される。 〔日本名〕通称のハナタデ(花蓼)は梅花状に開く花のようすにもとずいたものであるが,これは誤称である。
「葉面に時に黒色の斑紋がある」とあります。
確かに葉の中央に黒い線を引いたような斑紋があります。
「秋,茎の先の枝端に,直立した長さ2~5cmの細長い穂状様の花穂を出し,まばらに淡紅色の小花をつける」
「さや状の托葉にはふちに長い毛が並んで生えている」
「苗の生育状態により,穂につく花の疎密も一様ではなく,また,花色も濃淡がある。」
「がくは5個に深裂し,長さ1.5~2mmぐらい,初め正開し,小形であるが,やや梅花状である。花弁は無い。おしべは7~8個で,がくより短い。」
「そう果は広楕円形で, 3稜があり,長さ1.5mmぐらい,宿存がくに包まれている。」