疎水分線沿いにサザンカの花が咲いていました。
大きな木だったので野生のものかと思いましたが,自生地は温暖な九州,山口,四国のみだそうです。
よく似たツバキとの違いは,ツバキが花ごとポトリと落ちるのに対して,サザンカは花びらがばらばらに散ること,雄しべがツバキのように筒状になっていないこと,若枝や葉柄に微毛があることなどです。
![サザンカ](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-3-500x333.jpg)
![サザンカ(花)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-4-500x333.jpg)
![サザンカ(花)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-5-500x333.jpg)
![サザンカ(花・裏側)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-6-500x333.jpg)
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)にはサザンカについて次のように書いてありました。
1570. さざんか 〔つばき科〕
Camellia Sasanqua Thunb.
九州,四国の山中に野生する常緑小高木で,多く枝をうち葉は茂る。また観賞用のためにも庭園に植えられることが多い。若い枝には立った毛がある。葉は互生し,葉柄がありやや厚く,楕円形で長さ3~7cm,両端は尖り,ふちに細かいきょ歯があり,葉柄や葉の裏面の脈上に細かいがあらい毛がある。秋の終り頃,枝先に無柄のやや大きな花を付ける。がく片は緑色で,鱗片とともにかわら状に重なり合う。5個の花弁は倒卵形で,平らに開き後に散り落ちてツバキのように花弁全体がつずいたまま首が抜けるような形にはならぬ。山地にはえている木の花は白色であるが,園芸品には種々の色がある。雄しべは多数,子房は1個で,細かい毛があり,花柱は三つに分かれる。さく果は球形で表面には細かい毛があり,3枚に胞背裂開し,少数の暗褐色の種子を出し,この種子から油をとる。〔日本名〕多分山茶花から変ったものであろう。しかし山茶花と書いてこれをサザンカと読むのはよくない,山茶花は元来ツバキの名前である。 〔漢名〕茶梅。方言にカタシという。
「雄しべは多数,子房は1個で,細かい毛があり,花柱は三つに分かれる。」
![サザンカ(花・断面)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-7-500x333.jpg)
![サザンカ(蕾)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-8-500x333.jpg)
「葉は互生し,葉柄がありやや厚く,楕円形で長さ3~7cm,両端は尖り」
![サザンカ(葉)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-9-500x333.jpg)
「ふちに細かいきょ歯があり」
左側がサザンカ,右側がツバキ。
サザンカの方が鋸歯が深いです。
![左:サザンカの葉 右:ツバキの葉](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-10-500x333.jpg)
葉を透かして見ると,サザンカの中脈は黒いのに対して,ツバキの中脈は白く透けて見えます。
![左:サザンカの葉 右:ツバキの葉](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-11-500x333.jpg)
「葉柄や葉の裏面の脈上に細かいがあらい毛がある」
このサザンカの葉には,裏側の脈上には毛がありませんでしたが,表側の中脈上と葉柄に毛が生えていました。
ツバキの葉には毛がなくつるんとしています。
![サザンカ(葉)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-12-500x333.jpg)
![ツバキ(葉)](https://net1010.net/kujoyama/wp-content/uploads/2022/10/p221028-13-500x333.jpg)