キブネギクが咲いていました。
キブネギクはシュウメイギクの別名とされていますが,よく見かけるシュウメイギクとは花の形が随分違います。
こちらの方が本来のシュウメイギクの形に近いとされています。
花被(花弁ではなく萼)の広いシュウメイギクはキクの花に見えなくて,どうしてシュウメイギクという名がついているのか不思議でした。
キブネギクを見ると確かにキクの花に似ていますね。

キブネギク
キブネギク[ in南禅寺草川町 on2022/10/25 ]
キブネギク
キブネギク[ in南禅寺草川町 on2022/10/25 ]

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)にはキブネギクについて次のように書いてありました。

713. しゅうめいざく(きぶねぎく) 〔きんぽうげ科〕
Anemone japonica Sieb. et Zucc.
 各地の山野にはえる多年生の大形草本で,観賞花草として人家の庭に植えられている。高さは約70cm内外で,地下に長い地下茎を引いて繁殖する。茎は強直で立ち上がり,まばらに分枝し,緑色で葉と同様に短毛がある,根生葉には長柄があり,3出複葉で小葉には柄があって,卵形,基部は円形あるいは心臓形で3~5裂し,不そろいの歯牙縁がある。茎の上部の葉は短柄で,単一,根生葉の小葉と同様に3~7裂する。秋,上部で分枝し,葉状包を輪生して生じ,花柄の先に各々1個の大きい淡紅紫色の花を開く。花径は5cmほどで外側には短かくて厚い緑色のがく片があり,内部には多数の色のついたがく片があって平開し,菊花状である。有色のがく片は長楕円形あるいは線状楕円形で,外面に白色綿毛がある。おしべは多数,黄色。めしべも多数で細かい無柄の子房は球状の花床面に集まり,花の後に果実としては成熟しない。本種とA.vitifolia Ham.との雑種が日本にも伝わっている。これはがく片が広く,数が少なく,普通は白色で時には淡紅色のものもある。これをボタンキブネギク,一名バラザキシュウメイギク,チョクザキシュウメイギク(A. hybrida Makino)という。〔日本名〕シュウメイギクは秋明菊だろうか。思うに秋に開花しさわやかに見えるという意味だろう。貴船菊は山城(京都府)貴船山に多くはえるからである。〔漢名〕秋牡丹。

「3出複葉で小葉には柄があって,卵形,基部は円形あるいは心臓形で3~5裂し,不そろいの歯牙縁がある」

キブネギク
キブネギク[ in南禅寺草川町 on2022/10/25 ]

よく見かける園芸種のシュウメイギク

シュウメイギク
シュウメイギク[ in南禅寺草川町 on2022/10/25 ]