カツラの木のまわりが黄色い落葉で埋め尽くされていました。
降り積もった落葉の上に立つとほのかに甘い香りがします。
家人もそばを通るとイチゴジャムの匂いがするといいます。
『牧野植物図鑑』には「カツラのカツは香出(かづ)であろうと言われる。そうだとすると香気のある木でなければならない。この樹に香りがあるという人もいるがどうであろうか。」と書かれています。
牧野博士はカツラの匂いを嗅いだことがないようですね。
カツラの葉の芳香成分はマルトールだと分かっています。
カラメルに似た香りのする結晶で,現在では化学的に合成され香料や食品添加物として使われています。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,カツラについて次のように書いてありました。
649. かつら(おかづら) 〔かつら科〕
Cercidiphyllum japonicum Sieb. et Zucc.
各地の山地にはえる落葉大高木で,幹は真直にそびえ立ち,分枝し,高さ27m,直径1.3mほどになり,しばしば1株で数本の幹を出すものもある。枝上には更に短枝が多い。葉は対生で細長い柄があり,広卵形,基部は心臓形で先端はやや鈍形,ふちに鈍きょ歯があり,長さも幅もともに3~7cmぐらい,下面は粉白色で5~7本の掌状脈がある。雌雄異株で5月頃葉よりも早く包につつまれた花を葉腋に1個つける。裸花で花被はない。おばなにはおしべが多数あり,花糸は極めて細く,やくは線形で紅色である。めばなは3~5個のめしべからできていて,柱頭は糸状で淡紅色である。果実には短柄があり,袋果は円柱形で湾曲し,種子は一方に翼がついている。 〔日本名〕カツラのカツは香出(かづ)であろうと言われる。そうだとすると香気のある木でなければならない。この樹に香りがあるという人もいるがどうであろうか。カツラのラは語尾の添え詞だという。古名の雄力ヅラはヤプニッケイを雌カヅラというのに対していう。
「葉は対生で細長い柄があり,広卵形,基部は心臓形で先端はやや鈍形,ふちに鈍きょ歯があり,長さも幅もともに3~7cmぐらい,下面は粉白色で5~7本の掌状脈がある。」