川べりに光沢のある黄色い花がたくさん咲いていました。今までこの花はキツネノボタンだと思っていたのですが,よく調べてみると類似種のケキツネノボタンでした。名前のとおりキツネノボタンより全体に毛が多く生えています。キツネノボタンと比較したいと思いあちこちを探したのですが,ケキツノボタンばかりでキツネノボタンは見つかりません。開花時期が違うのでしょうか。

ケキツネノボタン
ケキツネノボタン[ in南禅寺下河原町 on2023/5/6 ]
ケキツネノボタン
ケキツネノボタン[ in南禅寺下河原町 on2023/5/3 ]
ケキツネノボタン(茎)
ケキツネノボタン(茎)

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には について次のように書いてありました。

725. けきつねのぼたん 〔きんぽうげ科)
Ranunculus polycephalus Makino
 田の間などの湿地にはえる赴年生草本。高さは約45~60cm。草体には毛がある。茎は普通少数が叢生し,直立し,対生的にまばらに分枝し,円柱形で中空,緑色である。根生葉は長い柄があり,柄のもとは鞘となる。葉身は3小葉に分かれ小葉は2~3に尖裂する。ふちには不そろいのきょ歯がある。茎葉は互生で短柄があり3全裂し,柄のもとは鞘となる。小葉は3~5尖裂し,裂片は卵状長楕円形でふちは不規則なきょ歯がある。春から夏にかけて各々の茎の先に黄色の花を開く。花径は12mmくらい。つぼみの時は球形で,がく片でつつまれている。がく片は5個,下方にそり反り凹面となり,革質,淡緑色,外面の上方には毛がある。花弁は5個で平開し,つやがあり,倒卵状長楕円形で縦に細い脈があり,倒卵状長楕円形,先端は円形全縁で基部に1個の小さい鱗片があり蜜槽となっている。おしべは子房より下につき,多数,黄色,花糸は糸状,やくは楕円形,めしべは多数が集合している。子房は無柄で長卵形,花柱は短かく,ほぼ直立して尖る。そう果は5~6月に熟し,径10mmばかりの球形に多数が集合し,楕円形で平たく,無柄,無毛,緑色で,先端の短かいくちばし状の突起は多少曲るがほぼ真直,味は辛く,熟すと散り落ち,水面に落ちると浮いて流れる。6月頃に茎や薬は枯れるので秋まで残らない。有毒植物の一つ,形がキツネノボタンと似ているが全体に毛が多く,そう果の先端がほぼ真直で強く曲らないので簡単に区別出来る。この種は山地や渓流にははえず,ただ田の間などにみられるだけである。〔日本名〕毛のある狐の牡丹の意味。

・茎は普通少数が叢生し,直立し,対生的にまばらに分枝し,円柱形で中空,緑色である

ケキツネノボタン(茎・断面)
ケキツネノボタン(茎・断面)

・根生葉は長い柄があり,柄のもとは鞘となる。葉身は3小葉に分かれ小葉は2~3に尖裂する。ふちには不そろいのきょ歯がある。

ケキツネノボタン(根生葉)
ケキツネノボタン(根生葉)

・茎葉は互生で短柄があり3全裂し,柄のもとは鞘となる。小葉は3~5尖裂し,裂片は卵状長楕円形でふちは不規則なきょ歯がある。

ケキツネノボタン(茎葉)
ケキツネノボタン(茎葉)
ケキツネノボタン(茎葉)
ケキツネノボタン(茎葉)
ケキツネノボタン(茎葉・柄の元)
ケキツネノボタン(茎葉・柄の元)

・春から夏にかけて各々の茎の先に黄色の花を開く。花径は12mmくらい。つぼみの時は球形で,がく片でつつまれている。

ケキツネノボタン(花)
ケキツネノボタン(花)
ケキツネノボタン(開花直前の蕾)
ケキツネノボタン(開花直前の蕾)

・がく片は5個,下方にそり反り凹面となり,革質,淡緑色,外面の上方には毛がある。

ケキツネノボタン(萼)
ケキツネノボタン(萼)

・花弁は5個で平開し,つやがあり,倒卵状長楕円形で縦に細い脈があり,倒卵状長楕円形,先端は円形全縁で基部に1個の小さい鱗片があり蜜槽となっている。

ケキツネノボタン(花)
ケキツネノボタン(花)
ケキツネノボタン(花弁)
ケキツネノボタン(花弁)

・おしべは子房より下につき,多数,黄色,花糸は糸状,やくは楕円形,めしべは多数が集合している。子房は無柄で長卵形,花柱は短かく,ほぼ直立して尖る。

ケキツネノボタン(花・断面)
ケキツネノボタン(花・断面)

・そう果は5~6月に熟し,径10mmばかりの球形に多数が集合し,楕円形で平たく,無柄,無毛,緑色で,先端の短かいくちばし状の突起は多少曲るがほぼ真直,味は辛く,熟すと散り落ち,水面に落ちると浮いて流れる

ケキツネノボタン(集合果)
ケキツネノボタン(集合果)
ケキツネノボタン(果実)
ケキツネノボタン(果実)