歩道際に生えているカヤツリグサの仲間が花穂をつけていました。毎年除草されても再び成長して,今の時分に花穂をつけます。
カヤツリグサ科の植物はみんな似ています。カヤツリグサ→イガガヤツリ→カワラスガナ→アオガヤツリと迷走を重ねましたが,今度こそメリケンガヤツリで間違いないと思います。結局は外来種といういつものパターンでした。
谷城勝弘著『カヤツリグサ科入門図鑑』(2007年)のカヤツリグサ科検索表でカヤツリグサ属までたどってみました。
A 花は両性で雌雄の別がない。
雄しべと雌しべが同じ1枚の鱗片に包まれています。
→B 小穂の鱗片は多数。
10個ほどの鱗片を2列につけています。
→C 果実は薄い被膜に包まれていない。
→D 柱基は細く,果実との間に関節はない。
柱基とは花柱の基部をいいます。
→E 刺針状花被片はないか,あっても針状で屈曲しない。
刺針状花被片はありません。ワタスゲ属は刺針状花被片が綿毛状になります。
→F 鱗片は2列に並ぶ。……カヤツリグサ属
鱗片が2列に並ぶのがカヤツリグサ属の特徴です。
さらに『改訂新版 日本の野生植物』カヤツリグサ属検索表でメリケンガヤツリまでたどってみました。
A 柱頭は3個で果実は3稜形,または柱頭は2個で,果実はレンズ形でその面が軸に向く。
柱頭は3個で果実は3稜形です。
→B 小穂は基部に関節がなく,熟すと鱗片と果実が落下し,小穂の軸(小軸)が残る。
→C 有花茎基部の葉は葉身がある。
茎基部の葉は退化していない通常の葉です。
→D 小穂は多数が頭状に密集してつく。
→E 小穂は淡緑色。
→F 多年草で根茎があり,果実は3稜形で柱頭は3個
この項目でアオガヤツリと分別されます。アオガヤツリは一年草で,果実はレンズ形,柱頭は2個です。
根茎は短くて目立ちません。
『新分類 牧野日本植物図鑑』(2017年)にはメリケンガヤツリについて,次のように書いてありました。
北アメリカ西部から南アメリカにかけて分布し, 日本へは戦後に入ってきた帰化植物。河川敷の湿地や水辺に生える多年草。叢生し多数のひげ根を生じる。葉は茎より短く,幅の広い線形で幅5~10mmあり,下部は赤褐色を帯びた葉鞘となって茎を包む。茎は1株に多数出て強く硬く,高さは30~100cm, 三稜形をなし平滑である。秋に茎の先端から著しく長い葉状の苞を四方へ開出し, その中心に多数の枝を散形状にのばし, 先に径1.5cmほどの球状に密集した花穂をつける。各小穂は長楕円形で扁平, 長さは6~15mm, 幅3mm, 淡緑色で少し褐色を帯び, 6~10個の花を2列につける。鱗片は舟状で広い倒卵形,長さは2mm位で先は尖り微凸端, 淡緑色でふちは淡褐色または白い。痩果は倒卵形で3稜があり、長さは約1mm, オリーブ色である。1958年に沖縄で記録され, オニシロガヤツリと呼ばれた。流水によってふえ,いまは関東以西の各地にも見られるようになった。〔日本名〕 原産地のアメリカに由来するもの。