白川の川岸にキササゲの花が咲いていました。毎年刈り取られるのですが,すぐに大きくなって初夏に花を咲かせます。切られてもすぐに大きくなるところはキリに似ていますね。そういえば大きな葉っぱも,円錐花序も似ています。現在キササゲはノウゼンカズラ科,キリはキリ科に分類されていますが,キリも一時ノウゼンカズラ科に分類されていたことがあるそうです。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,キササゲについて次のように書いてありました。
2276. きささげ 〔のうぜんかずら科〕
Catalpa ovata G.Don
支那中部,南部の原産で暖地の庭にうえられるが,しばしば河岸などに自生状でみられる落葉高木である。高さ6~9m,大きなものは高さ12m,径60cmとなる。葉は対生し,長い柄をもち,広卵形または円形で先はとがり,しばしば浅く3裂し,掌状の脈をもち,質厚く軟毛がはえている。7月頃,枝の先に大形の円すい花序をつけ,多数の大形の花を開く。花冠は漏斗状で先は5裂して唇形となり,白色で暗紫色の斑点がある。 2本づつ長さの異る4本の雄しべをもつ。 10月頃,ササゲに似た線状の細長いさく果が成熟し,長さ約30cmほどとなる。種子は扁平で大きく,両端に糸状の長い毛がはえる。〔日本名〕木ササゲで果実がササゲに似て樹木であるのでいう。果実を梓実といいじん臆病の薬とする。〔漢名〕楸または椅を用いる。一名アズサともいい梓をあてることがあるが梓はキササゲ属の別の種類である。
(『新分類 牧野日本植物図鑑』(2017年)では,漢名を次のように訂正しています。
〔漢名〕 梓。旧版で本種の漢名とした楸は別種トウキササゲ C. bungei C.A.Mey. の名である。)
・暖地の庭にうえられるが,しばしば河岸などに自生状でみられる落葉高木である。
まさに「河岸などに自生状」に生えています。日当たりのよい湿地を好むようです。
・7月頃,枝の先に大形の円すい花序をつけ,多数の大形の花を開く。
・花冠は漏斗状で先は5裂して唇形となり,白色で暗紫色の斑点がある。
花冠を切り開いたところ
・2本づつ長さの異る4本の雄しべをもつ。
一見すると,雄しべは2本に見えますが,花冠の付け根に仮雄しべがあります。
同書では雄しべの数は4本とありますが(『新分類 牧野日本植物図鑑』(2017年)でも同様),『日本の野生植物』(2016年)では「雄蕊は5本, うち上部3本は仮雄蕊となる。」とあります。『APG原色樹木大図鑑』(2016年)でも「雄しべは下側の2本が完全で他の3本は葯をもたない。」とあり,雄しべは5本となっています。実際の花を見てみると,仮雄しべは2本のものも3本のものもあるようです。
・10月頃,ササゲに似た線状の細長いさく果が成熟し,長さ約30cmほどとなる。
昨年の8月,細長い蒴果がたくさんぶら下がっていました。
花の縦断面
蕾
花殻を取ると,柱頭は2裂していました。