ひらひらと何かが目の前を横切り,地面にとまりました。とまったあたりを探すと,草の間に大形のガがいました。すこし開いた前翅の間から派手な朱色をした後翅が見えています。威嚇モードのようです。

ムクゲコノハ
ムクゲコノハ[ in粟田口大日山町 on2023/7/20 ]
ムクゲコノハ
ムクゲコノハ[ in粟田口大日山町 on2023/7/20 ]

近づいて写真を撮っていると,飛び立ち,すぐにまた草の中に紛れ込みました。こんどは擬態モードらしく,前翅をぴったりと閉じ枯葉になり切っています。

ムクゲコノハ
ムクゲコノハ[ in粟田口大日山町 on2023/7/20 ]
ムクゲコノハ
ムクゲコノハ[ in粟田口大日山町 on2023/7/20 ]

図鑑で調べると,ムクゲコノハでした。
世界大百科事典(第2版)にはムクゲコノハについて次のように書いてありました。

ムクゲコノハ【Lagoptera juno】
鱗翅目ヤガ科の昆虫。大型で開張8cm内外。前翅は枯葉状の褐色であるが,後翅は美しい朱色,中心部は黒色でその中に青色の紋を有する。裏面も朱色。雄では後翅の内縁に沿って長い毛束を生ずるので尨毛(むくげ)の名がある。木の葉というのは前翅の形状と色調による。インド,東南アジアに分布する。日本では全土に産し,4~9月に見られる。幼虫はコナラ,オニグルミなど多種の広葉樹につく。

「ムクゲ」の名について「後翅の内縁に沿って長い毛束を生ずるので尨毛(むくげ)の名がある。」としています(ちなみに尨毛とは「動物の長くふさふさと垂れた毛」)。同じヤガ科のアケビコノハはアケビを食草とすることからついた名です。ムクゲコノハも同じようにムクゲを食草とすることからついた名のようですが,違うのですね。