タカサゴユリがたくさん咲いていました。侵入的外来種とされているので,積極的に植えられたものではないと思うのですが,美しいので除草されずに残っています。

タカサゴユリ
タカサゴユリ[ in南禅寺福地町 on2023/8/10 ]
タカサゴユリ
タカサゴユリ[ in南禅寺福地町 on2023/8/10 ]
タカサゴユリ
タカサゴユリ[ in南禅寺福地町 on2023/8/11 ]

細身の白い花と「高砂」の名が相まって上品なイメージがあります。しかしタカサゴユリの高砂は,播磨の高砂ではなく台湾の別名です。原産国の台湾では台湾百合と呼ばれています。
侵入生物データベースでは「繁殖力が旺盛なことから、生態ニッチェが重なる在来種との競合が懸念される。」とされています。
全国農村教育協会『日本帰化植物写真図鑑』(2001年)には,タカサゴユリについて次のように書いてありました。

 台湾の原産で,19世紀の末にイギリスに花卉として導入されて以来,観賞用に各国で栽培されている多年生草本て,地下の黄色味を帯びた百合根状の鱗茎から1.5mほどに達する直立茎を出し,幅約1cm,長さ15cmほどの線形の葉をやや密につける。夏から秋にかけて茎の頂部に長さ15cm,直径13cmほどのラッパ状の6弁の花を総状につける。花の内部は乳白色,外側は紫褐色を帯びる。我が国には1924年に導入され,庭園や切り花用に栽培されてきたが,種子の発芽から6ヶ月ほどで開花するため,近年各地で野生化して道端や堤防法面などで繁殖している。オーストラリアでも雑草化している。別名,タイワンユリ。

別の場所で雑草化していたものを引き抜いて,調べてみました。

タカサゴユリ
タカサゴユリ

・地下の黄色味を帯びた百合根状の鱗茎から1.5mほどに達する直立茎を出し
引き抜いたので,根は途中で切れています。この下に「百合根状の鱗茎」があったのだろうと思います。

タカサゴユリ(根)
タカサゴユリ(根)

・幅約1cm,長さ15cmほどの線形の葉をやや密につける
ホソバテッポウユリの別名があるように,よく似た在来種のテッポウユリより葉が細いことが特徴です。

タカサゴユリ(葉)
タカサゴユリ(葉)

・夏から秋にかけて茎の頂部に長さ15cm,直径13cmほどのラッパ状の6弁の花を総状につける
テッポウユリが4~6月に咲くのに対して,タカサゴユリは8~9月の暑い時期に咲きます。

タカサゴユリ(花)
タカサゴユリ(花)
タカサゴユリ(花)
タカサゴユリ(花)

・花の内部は乳白色,外側は紫褐色を帯びる
タカサゴユリの特徴の一つとして花の外側が「紫褐色を帯びる」ことがあります。「赤紫の筋が入る」とも表現されます。しかし個体差があるようで,はっきりと紫褐色の筋が現われるものもあれば,ほとん現われないものもあります。

タカサゴユリ(花)
タカサゴユリ(花)
タカサゴユリ(花被)
タカサゴユリ(花被)

蕾が変形しているものがいくつかありました。気になり調べてみると,ウイルス病にかかっているようです。開花後も変形しています。

タカサゴユリ(変形した蕾)
タカサゴユリ(変形した蕾)
タカサゴユリ(変形した花)
タカサゴユリ(変形した花)