スミレの花が咲いていました。
少し前に,自転車で通りかかったときに見つけて,気になっていました。
こんな寒い時季に咲くかなと思いつつ,今回もう一度確認してみると,やはりスミレでした。
花と一緒に実もついています。
スミレは11月頃に返り咲きをすることがあるそうですが,2月に咲いているとは暖冬のせいでしょうか。

スミレ
スミレ[ in一切経谷町 on2024/2/16 ]

『日本の野生植物』(2016年)には,スミレについて次のように書いてありました。

高さ6-20cmの多年草。無茎種。地下茎は短く,太くて長い黄色みをおびた赤褐色の根がある。葉は斜上し、葉身は濃緑色で表面はやや厚く,鈍い光沢があり,三角状披針形ないし楕円状披針形,鈍頭,基部は切形または柄に細まり,長さ3-8cm,低い鋸歯があり,葉柄は長さ3-15cm,上方に翼があり,しばしば紅色をおびる。果期の葉は狭三角形で,基部のやや心形のものが多い。花期は3-6月。花は大型で径約2cm,濃紅紫色,花柄は長さ5-20cm。萼片は披針形,付属体は全縁。花弁は長さ12-17mm,側弁の基部は有毛。花柱は突出形(カマキリの頭形),上部が左右に張り出し,柱頭はごく短く突き出る。距は長さ5-7mm。

スミレ(花)
スミレ(花)
スミレ(葉)
スミレ(葉)
スミレ(柱頭・葯)
スミレ(柱頭・葯)

特徴は大体当てはまりますが,側弁基部に毛がありません。

側弁の基部が無毛のものをワカシュウスミレfmadia(Nakai)Hiyama

というそうです。

スミレ(側弁基部)
スミレ(側弁基部)

花弁の後方に突き出た袋状の部分(距)を切ってみると,面白い構造をしていました。
雄蕊から角のようなものが伸びています。雄蕊の距といい,蜜を出して唇弁の距に蜜を溜めるそうです。

スミレ(花・断面)
スミレ(花・断面)
スミレ(距・断面)
スミレ(距・断面)

果実を切ると中に種子がいっぱい詰まっていました。

スミレ(果実・断面)
スミレ(果実・断面)

スミレの花の色を表す「濃紫色」は何と読むのが正解なのでしょうか。いままで「のうししょく」と読んでいたのですが。濃紫は「のうし」ではなく「こむらさき」と読むのが正しいとか。それならば濃紫色は「こむらさきいろ」と読むのが正解かと思ったのですが,「のうししょく」という読み方もあるようで,混乱します。