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ジャノヒゲ

2010年12月17日
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ジャノヒゲに綺麗なコバルトブルーの実がなっていました。[写真1]

艶々としていていかにも液果という感じで,ヨウシュヤマゴボウの実のように,指でつぶすと,ぷちっと紫色の果汁が出てきそうですが,実際は指で押してもつぶれません。

半分に切ってみると,断面は[写真2]のようになっています。
一番外側を覆っている青い肉厚の部分は種皮で,なかに白い胚乳があります。
ジャノヒゲは,種子がむき出しで実る,珍しい植物なのです。

多田多恵子著『種子(タネ)たちの知恵』(2008年)には,次のように書いてありました。

じつはこの実,形態学的には「種子」にあたります。果皮が花後早々に剥落し,種子がむき出しになって育つのです。近縁属のヤブランとともに,数ある植物のなかでも特異な性質です。

このことは,実のつき方を見ると,ちょっと理解できます。1つの花がついていた柄の先には青い玉がl個と限らず,2個とか3個,ときには5個もついています。雌しべの基部にある子房(実のもとになる部分)の中には,もともと6個のは胚珠(種子のもとになる部分)があります。その胚珠が子房の皮(果皮)を破って育つのです。だから,実ではなく種子というわけ。初め6個の幼い種子には大小が生じ,大きなものだけが成熟します。

青い皮をむくと現れる,白い半透明の玉[写真3]はよく弾みます。
ジャノヒゲの実は「ハズミ玉」といわれ,昔は子どもたちの遊び道具になっていたそうです。

どのくらい弾むのか,試しに床に強く打ちつけてみました。
弾んだ玉はなんと天井に当たり,跳ね返りました。
天井までの高さは2.4m。
意外なほどよく弾みます。

ジョノヒゲは「蛇の髭」で,細長くとがった葉の形が「蛇の髭」に似ていることからきています。
でも普通の蛇には,ヒゲはありませんよね。
ジャというのは「おろち」のことです(「やまたのおろち」の「おろち」)。
小学館『日本国語大辞典』(1980年)には「じゃ(蛇)」について,次のように書いてありました。

【蛇】[名]①大きなヘビの総称。また,古代中国の想像上の動物。龍に似て,手足がない。おろち。うわばみ。だ。

色々なものに描かれている「おろち」の図像を見ると,ほとんど龍と同じです。
龍と同じように手足が描かれているものも多いのですが,本来はヘビなので,手足がないのが「おろち」の特徴なのかもしれません。

根の一部は膨らんで貯蔵根になっています。
この部分を切り取って乾かし,麦門冬(ばくもんどう)という漢方薬になります。
[写真5]は,膨らんでいる部分を切った断面です。

花は初夏に咲くのですが,小さく下向きに咲くので目立ちません。
[写真6]は2009年7月9日に撮影したもの。

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