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サビヒョウタンゾウムシ

2012年9月30日

お彼岸に墓掃除をしていたところ,敷き詰められた白川砂のなかに,小さなゾウムシが動いているのを見つけました。
大きさといい体色といい,砂粒とみごとに一体化していて,一旦目を離すとどこにいるのか分からなくなってしまいます。
体長6mmほどですが,これでもゾウムシのなかまのなかでは,中くらいの大きさの種類です。

サビヒョウタンゾウムシではないかと思います。
「ヒョウタンゾウムシ」の名は,体の形が瓢箪に似ていることから来ています。
[写真1]を見ると,胸部も腹部も丸っこい形をしていて,確かに瓢箪を連想させます。
小さな頭部は,瓢箪の飲み口の部分に当たるのでしょうか。

ヒョウタンゾウムシは吻(ふん)が短く,象というよりは,どちらかというと獏(ばく)のイメージですね。
もともとゾウムシの吻は,植物の内部に卵を産みつけるための産卵孔を掘るために,口が細長く進化したものです。
さらにそこから2次的に吻が短い種も分化しています。
ヒョウタンゾウムシは,吻が短いグループ(短吻群)に属します。

北隆館『新訂 原色昆虫大図鑑 甲虫篇』(2007年)には,サビヒョウタンゾウムシについて,次のように書いてありました。

体長8mm内外。黒色で真珠光沢のある淡色鱗片を装い,背面ではやや暗色の鱗片を斑状に混える。前種(クワヒョウタンゾウムシ)によく似るが上翅の間室は一様に少し隆まり,上翅背部の鱗毛はより細かい。雑食性で,畑地の作物を加害する。

「黒色で真珠光沢のある淡色鱗片を装い,背面ではやや暗色の鱗片を斑状に混える」と書いてあります。
もともとの体色は黒色で,それを淡色鱗片が覆っている,ということのようです。
ピンセットで上翅の表面を削ってみると,簡単に鱗片が剥がれおち,艶やかな黒い地があらわれました。[写真5]
点刻が整然と並んでいます。

その点刻と点刻の間が「間室」です。
「上翅の間室は一様に少し隆まり」とあるのは,類似種のクワヒョウタンゾウムシが「間室は奇数室が他よりよく隆ま」ることとの比較です。

ヒョウタンゾウムシのなかまは,後翅が退化し,飛べないそうです。
確認しようと思って,上翅をはがしてみて,驚きました。
上翅の左右の翅がくっついた状態で,かぱっと持ちあがったのです。[写真6]
その下にある,天使の羽のような小さな白い羽?,これが退化した後翅ではないかと思います。

後翅が退化しているだけでなく,上翅も左右が接合してしまっているとは。
飛ぶことをあきらめ,堅い上翅で身を守ることを徹底させたようです。
瓢箪に例えられる丸い体形も,より頑丈な構造を追及した結果ではないでしょうか。

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