台所にいた家人に虫が飛びついてきたようです。
小さな悲鳴のあとに,捕まえた虫を見せに来てくれました。
一見コクワガタの♀に見えますが,前胸背板に丸い凹みがあるこの虫はコカブト(♂)です。
カブトムシのなかまなので,小さいながらも角があります。[写真1]

学研教育出版『日本産コガネムシ上科標準図鑑』(2012年)には,コカブトについて次のように書いてありました。

体長:18~26mm。黒色でやや強い光沢がある。背面はほぼ無毛で,前胸背板の点刻はあらく,上翅の点刻列は明瞭。短い頭角をそなえるが, ♀では短く円錐状。♂の前胸背板中央は丸く陥没するが,♀では強く陥没せず,やや幅のある縦溝となる。 ♂の前脚の爪のうち内側のものは幅広く先端で2叉するが, ♀では細く通常形。

生態 成虫は灯火に飛来するほか,朽ち木内や樹木の洞内で発見されることが多く,乾燥した牛糞の下などから発見されることもある。かなり強い肉食性を示し,カブトムシの養殖場で発生し,その幼虫を食害したという報告もある。幼虫は朽ち木を食べて育つようで,その成長は速く,条件がよければ孵化後3か月ほどで成虫になる。また,成虫でも越冬するようで,不規則に繁殖を繰り返している可能性がある。

・体長:18~26mm
この個体は体長21mm

・黒色でやや強い光沢がある。背面はほぼ無毛で,前胸背板の点刻はあらく,上翅の点刻列は明瞭。
[写真2]

・短い頭角をそなえるが, ♀では短く円錐状
[写真1]は♂の頭角
[写真8]は♀の頭角

・♂の前胸背板中央は丸く陥没するが,♀では強く陥没せず,やや幅のある縦溝となる
[写真3]は♂の背面
[写真7]は♀の背面

・♂の前脚の爪のうち内側のものは幅広く先端で2叉するが, ♀では細く通常形。
[写真6]は♂の前脚爪
[写真8]は♀の前脚爪