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チャイロスズメバチ

2014年8月7日

水路閣近くの石段の上に,ハチが死んでいました。[写真6]
スズメバチのなかまのようですが,見かけない種類です。
持ち帰り,名前を調べてみました。

いつも最初に見る図鑑,小学館の図鑑NEO『昆虫』のスズメバチの頁には載っていません。
顔つき,体つきはスズメバチのなかまだと思うのですが。
ネット上の「日本産ハチ類検索表」で,スズメバチ科をたどってゆくと,チャイロスズメバチにたどり着くことができました。

・腹部第1節は背面から見て横長で,前縁は直線状。
・後翅に臀垂がない。
・大形で通常体長20mm 以上。
……→スズメバチ亜科

・頭盾に斑紋を欠く。
・複眼後方は広く,背面から見て後単眼と頭部後縁の距離は後単眼・複眼間の距離より長い。
……→スズメバチ属

・腹部はほぼ全体が黒褐色。
……→チャイロスズメバチ

北隆館『新訂原色昆虫大図鑑3』(2008年)には,チャイロスズメバチについて次のように書いてありました。

体長♀29mm内外, 働きバチ 18~24mm,♂26mm内外。体色が他のスズメバチと著しく異なるため容易に識別出来る。頭胸部は赤褐色で中胸背板と胸部側~下面は黒色をおびる。腹部はやや光沢があり,黒色で第1節後縁には赤褐帯を持つ個体が多い。触角および肢は大部分赤褐色。翅はやや黄色味をおびる。頬は良く発達し,背面から見て後方に強く拡がる。体に剛毛が多く,特に♀では顕著である。樹洞等に営巣するが寄生性を示し, ♀はモンスズメバチV.crabro L.等の巣に侵入して♀を殺し,代って産卵を行ない,最後に働きバチは全てチャイロスズメバチになる。いわゆる家族寄生であるが働きバチは退化していない。攻撃性は強い。山地性で北海道,中部以北の本州に産し,ウスリー,支那等に分布する。ややまれ。

追記:近年,関東地方などでは低地でも普通に見られるようになった。北海道では1970年代まではごく少数の記録しかなかったが,最近は広い範囲で普通に見られる。

本来は北方系のハチで中部地方以北の山地に分布していたのですが,追記にあるように近年生息範囲を広げているようです。
京都にも定着しはじめているようで,2010年発行の京都市衛生環境研究所『衛生動物だより NO.40』に次のように書いてありました。

チャイロスズメバチは,常に見られる種類ではありません。事実,私は,昭和46年から約10年間,京都市のスズメバチ駆除に携わっていましたがチャイロスズメバチを見たことはありませんでした。ところが5年前のことです。ハチの駆除をしている業者さんが「珍しいハチを駆除してきました。チャイロスズメバチです。」と標本を持参されました。私が初めてチャイロスズメバチを見たときでした。採集された場所は,清滝付近の山間の住宅でした。

左京区と東山区で仕掛けたトラップでチャイロスズメバチが採集されました。いずれも採集された時期,大きさから女王バチと思われる個体でした。チャイロスズメバチの営巣が幾つか確認されていること,トラップでも女王バチが採集されるなど,京都市内でチャイロスズメバチが定着しているのは間違いありません。

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