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[写真1]2014/11/17
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[写真2]♂腹節
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[写真3]♂触角
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[写真4]♂頭部
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[写真5]♂単眼
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[写真6]♂腹端
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[写真7]♂側面
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[写真8]左側:♂ 右側:♀
道に大きなスズメバチがとまっていました。[写真1]
夏の獰猛さは見るかげもありません。
傾いた体に,かすかに動く肢,瀕死の状態といった感じです。
今の時期にいるのは新女王バチでしょうか。
持ち帰って調べてみました。
女王バチなら触角の節数は12節のはずです。
確認のためにを数えてみると,何度数えても一つ多い13節あります。[写真2]
ひょっとしたらオスかもしれません。
腹を押さえてみても,腹端から毒針は出てきません。
腹部の節数を数えてみると,7節ありました。[写真3]
やはりこれはオオスズメバチのオスです。
山内博美著『都市のスズメバチ』(2009年)には,スズメバチのオスとメスの違いについて,次のように書いてありました。
頭部には2本の触角があり,ここで匂いを感じている他,6角形の育房を作る際に形や大きさを測るための定規の役割も果たしている。触角には,オスには13,メスには12の節があり,形も違っているのでオス・メスを見分けるのに役立つ。
頭部の左右には,多数の小さな個眼が束状に集まった複眼,複眼のまん中に3つの単眼がある。物の形や動きを見るのは複眼の役目で,単眼は明暗を区別して複眼の働きを助けている。
胸部には4枚の羽と6本の足がついている。ハチの羽は,前翅と後翅がかぎでつながっていて,一緒に動くので2枚のように見える。腹部はオスが7節,メスが6節からできている。メスの腹部の先端は尖っており,産卵管が変化した毒針がついていて,これで人を刺すことがある。オスには毒針がないので,腹部の先端はメスのように尖っていない。
まとめると次のようになります。
・オスの触角には13,メスの触角には12の節がある。
・オスの腹部は7節,メスの腹部は6節からできている
・オスの腹端は円くなっていて毒針はない。メスの腹部の先端は尖っていて毒針がある。
[写真8]はオオスズメバチのオスとメス(女王バチ)を比べたもの。
左側のオスは今回の個体。
右側のメスは2年前に自宅前で死んでいたもの。(→2012年6月21日)
見比べてみると,触角はオスの方が明らかに長いです。
腹長は,この写真で見る限りでは,オスの方が長いという感じはしません。
腹端は,メスは尖り,オスは円くなっています。
スズメバチ科の雌雄は同じような違いがあります。
・セグロアシナガバチ雌雄の違い→2008年11月18日
・キアシナガバチの雄→2012年12月8日
働きバチは全てメスで,オスは新女王バチと交尾する目的だけのために秋に誕生し,晩秋には全て死んでしまいます。
顔面の写真をよく見ると,頭盾と呼ばれる部分が,何かで突かれたように割れています。[写真4]
動けないのはこの傷が原因かどうかはわかりませんが,どちらにして冬を越すことはできません。