草の葉に,アブがとまっていました。
とりあえず離れたところから一枚撮り,少しずつ慎重に近づきました。
逃げるかと思いきや,全然動きません。
かなり近づいて,色々な角度から撮ることができました。[写真1]~[写真3]

双翅目は種類が多くてはっきりしませんが,多分,アシブトハナアブだと思います。
保育社『原色日本昆虫図鑑(下)』(1977年)には,アシブトハナアブについて次のように書いてありました。

体長12~14mm,翅長10~12mm。体は黒色で黄色長毛を密生する。前額は黒褐色で黒色毛と褐色粉を装い,顔面は黄金色粉でおおわれるが中央隆起部は口縁まで裸体で,光沢ある黒色。触角は褐色。胸部背面は光沢を欠き,黄褐色毛を密生し,肩瘤,周縁部,明瞭な亜背線は黄褐色。小楯板は黄褐色。あしは黒色で腿節は太く,脛節は湾曲する。翅は透明で縁紋は小さいが黒褐色。腹部はやや扁平で第2節の両側縁には大きな三角形の黄色紋があり,♂ではとくによく発達している。第3節にも小さい黄紋がある他,第1~3節の各後縁は狭く黄色。

・体長12~14mm,翅長10~12mm
この個体は体長14mm,翅長10mm。

・体は黒色で黄色長毛を密生する
[写真1]~[写真3]を拡大して見ると,体を覆った黄色の毛が光を反射しています。

・前額は黒褐色で黒色毛と褐色粉を装い,顔面は黄金色粉でおおわれるが中央隆起部は口縁まで裸体で,光沢ある黒色。触角は褐色。
[写真5]

・胸部背面は光沢を欠き,黄褐色毛を密生し,肩瘤,周縁部,明瞭な亜背線は黄褐色。小楯板は黄褐色。
[写真6]

・あしは黒色で腿節は太く,脛節は湾曲する。
「アシブト」の名のように,特に後脚の腿節は巨大です。
[写真6][写真7]

・翅は透明で縁紋は小さいが黒褐色
よく見ると翅はボロボロです。[写真8]
双翅目なので,後翅は平均棍に変形しています。[写真9]

・腹部はやや扁平で第2節の両側縁には大きな三角形の黄色紋があり,♂ではとくによく発達している。第3節にも小さい黄紋がある他,第1~3節の各後縁は狭く黄色。
三角形の黄色紋」は,乾燥した標本で見ると半透明で,内部は空になっています。
♂ではとくによく発達している」とありますが,この個体は♂でしょうか,♀でしょうか。
♂♀の見分け方について,ネットによると,両複眼の間隔が♂は♀より広いそうです。
ネット上の写真とも見比べると,この個体は♂のようです。