ショウジョウバカマの花が咲いていました。ショウジョウバカマの名前の由来について,牧野新日本植物図鑑には次のように書いてあります。
『〔日本名〕猩々袴であるがその意味ははっきりとしないが,紅紫色の花を猩々の赤い顔にたとえ,下に敷きつめた葉を,それの袴(はかま)に見立てたのかも知れない。』
猩々とは赤い顔をした伝説上の生き物で,赤いものの例えとして生物の名前にもよく使われています。ショウジョウバエ,ショウジョウエビ,ショウジョウガイ,ショウジョウインコなど。
伝説上の生き物「猩猩」について,平凡社「世界大百科事典」には次のように書いてありました。
『現在では一般に南方に生息するオランウータンを指すが,中国の古典等に現れる猩猩は想像的要素が強く,姿の形容もさまざまである。一般には猿に似ているとされ,長髪で人の顔,人の足をし,その声は小児の泣くようであり,群れを作ってはって歩くという。一般に狗(いぬ)や豕(ぶた)に似ているともいう。《礼記(らいき)》曲礼上に<猩猩能(よ)く言う>とあるが,ただ人の言葉がわかるにすぎないともされる。猩猩は酒と屐(げた)が大好きであった。それで猩猩を捕らえるときには,その二物を置いて誘う。猩猩はわなとさとって一度は逃げるが,やがてもどり酒に酔い,足には屐をはいているので,結局,捕らえられたという(《唐国史補》巻下),また六朝時代には,すでに猩猩の血は毛織物を真紅に染めることができ,しかも長く変色しないとされた。真紅の色を意味する猩血,猩紅等の言葉が生まれた理由である。ちなみに猩猩の唇は昔,美味な肉の一つとされた。 植木久行』