• ヤマザクラ
  • ソメイヨシノ

[写真1]がヤマザクラ,[写真2]がヨメイヨシノです。ヤマザクラは子房が膨らんでいますが,ソメイヨシノは変化がありません。

大部分のソメイヨシノは,結実することなく花は枝から脱落します。今の時期,木の下には花柄がたくさん落ちています。
ヤマザクラは,花びらが散った後も,がく,おしべ,花柱はしばらく残っていますが,2~4日後には実だけになり,そのまま黒紫色に熟します。

5月下旬には,ヤマザクラの木の下に実がたくさん落ちています。歩道に,つぶれた実の黒い汚れがたくさんついているのを見ると,公園や街路樹にソメイヨシノが植えられる理由が分かるような気がします。

3月26日に時事通信で「ソメイヨシノ「両親」判明=オオシマザクラとコマツオトメ-遺伝子解析で」というニュースが流れていましたが,詳しいことはあまり分かりませんでした。
今日,ネットで検索すると,日本育種学会第111 回講演会の記者会見のお知らせがあり,すこし詳しい発表の概要が載っていました。

「PolA1 遺伝子解析によるサクラの類縁関係 -ソメイヨシノの起源-」
『日本において古来より数多くのサクラ品種が育成されてきたが,その多くはオオシマザクラを交配親として育成されたと言われている。しかし,これまでDNA 解析によりヤマザクラとオオシマザクラを区別することはできなかった。そこで,核ゲノム中に1組のみ存在するPolA1 遺伝子の第19イントロンの塩基配列を解析したところオオシマザクラに特異的なハプロタイプを見いだした。ソメイヨシノの起源に関しては,葉緑体DNA の解析によりエドヒガンが母親であるという結果が提出されている(Kaneko et al. 1986)が,父親がオオシマザクラであることを示す結果は得られていない。本研究の結果,ソメイヨシノのひとつのハプロタイプはオオシマザクラと一致した。また,もうひとつのハプロタイプは,エドヒガン野生種と1塩基異なっていた。そこで,エドヒガン系園芸品種を解析したところ,上野公園にあるコマツオトメがソメイヨシノと同じハプロタイプを含んでいることを見いだした。以上の結果は,ソメイヨシノがコマツオトメのようなエドヒガン系品種を母親に,オオシマザクラを父親として起源したことを示唆している。注: コマツオトメを母親と断定していない。』

これを読むと,ソメイヨシノの起源については,これからもまだまだ論争が続きそうな感じですね。