• ヌメリイグチ
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マツの樹下地上にヌメリイグチがたくさん出ています。

チチアワタケとよく似ていますが,ヌメリイグチは柄につばがあり,チチアワタケはつばがないことで区別されます。
しかしつばがとれてしまっている場合も結構あるので,一緒に生えている他のものも確認する必要があるようです。
[写真3]は群生しているヌメリイグチですが,左のものにはつばがありません。

『新装版山渓フィールドブックス きのこ』(2006年)には,ヌメリイグチについて次のように書いたありました。

秋,ハツタケ,アミタケ,チチアワタケと同じ頃にマツ林の地上に単生~群生。中~大型。傘表面は著しい粘液に覆われ,赤褐色~暗褐色。膜質帯紫色のつばをもち,柄の表面には黄色~淡褐色の微細な粒点がある。食。「ヌメリ」の名のとおり傘に強い粘性がありカワムキ,マンジュウタケなどの名称で親しまれ,広く食用にされる。傘表皮に毒成分をもつという報告がある。

「傘表皮に毒成分をもつという報告がある」と書いてあります。
ヌメリイグチは広く食用にされていて,私も時々食べています。
普通,調理する時には傘の表皮ははぎとりますが,毒があるかもしれないとなれば,表皮は必ずとった方がよいようです。

ヌメリイグチの特徴について,保育社『原色日本新菌類図鑑(Ⅱ)』(1989年)に書いてあったことをまとめると,次のようになります。

・傘は径5~14cm。
表面はいちじるしい粘液におおわれ,暗赤褐色~黄褐色。
しばしば灰~紫色の色彩をおび,粘液が失われるにつれてしだいに淡色となる。

・傘の下面は初め白色の被膜でおおわれるが,、被膜は外層においてゼラチン化し,しだいに灰褐色~紫色をおびる。
破れた被膜は柄に膜質のつばを,また傘に縁膜片を形成する。

・肉はほぼ白~淡黄色(柄では黄色が多少強い),傷ついても変色しない。

・管孔は直生~やや垂生し,レモン黄色のち帯褐黄色。
孔口は小形。

・柄は4~7×0.7~2cm。
表面はほぼ白~淡黄色。
淡黄色のち帯橙黄~帯褐色となる細粒点を密布する。(柄の下部ではまばら)

・胞子紋はさび褐色。
胞子は7~10×2.5~3μm,長楕円形~楕円状紡錘形。
縁シスチジアは32.5~70×7.5~12.5μm,狭こん棒形~紡錘状こん棒形。
側シスチジアは小形(25~32×5~7μm)で,散在し,ときにほとんど認められないことがある。

・夏~秋,マツ属またはトウヒ属林内の地上に群生する。

「傘は径5~14cm」となっていますが,だいたい10cm前後といった感じです。
傘は褐色で,表面はべとべとしていて,それがたくさん密集して生えていると,見た目はよくありません。
マグソ(馬糞)タケと呼ぶ地方もあるそうです。
しかし,表皮をはぎとり,管孔を取り除くと,白くてきれいな肉をしています。

「破れた被膜は柄に膜質のつばを,また傘に縁膜片を形成する」
つばがとれたものも,傘の縁には破れた被膜の名残がついているかもしれません。
チチアワタケの傘にはそうしたものはありません。

「夏~秋,マツ属またはトウヒ属林内の地上に群生する」
おもに発生する時期は秋ですが,夏にも春にも発生します。