• フユノハナワラビ
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フユノハナワラビ。

ハナワラビ類は,一見すると根際に葉が茂り,伸びた茎に花が咲いているように見えます。[写真1]
しかし,ハナワラビ類はシダ植物なので,花は咲きません。
伸びた茎についている粒々は胞子嚢で,中には胞子が詰まっています。

[写真4]は,胞子嚢をピンセットでつまんで,つぶしたところ。
小さな白い粒がこぼれ出していて,嚢の中にもぎっしりと詰まっているのがわかります。
これが胞子だと思うのですが。
以外に大きいですよね。

普通の羽状複葉をしたシダ植物は,葉緑素をもつ葉の裏に胞子嚢が付いていますが,ハナワラビ類は,葉緑素を持ち光合成をおこな葉と胞子をつける葉が分かれています。
光合成をおこなう葉を栄養葉といい,胞子嚢をつける葉を胞子葉といいます。

ハナワラビ類が属するハナヤスリ科について,『朝日百科 植物の世界』(1997年)には次のように書いてありました。

 真嚢(しんのう)シダ類に属すハナヤスリ科は,1987年,加藤雅啓により再考され,6属に分類された。またごく最近の分子系統学の研究によれば,ゼンマイ科に近縁なことが明らかとなり,これまでの定説に近い分類群であることが再認識された。
 しかし,ハナヤスリ科は単純な形態でありながら,垂直に伸びる胞子葉と水平あるいは斜上する栄養葉との位置関係が,いまだに多くの研究者の興味をそそる謎である。共通柄とよばれる茎(根茎)は,その上部から通常,胞子葉が分岐するため,胞子葉柄と栄養葉柄を兼ねる特殊化した柄と解釈する説もある。またこの科の祖先は中生代ジュラ紀にまで遡れるともいわれ,原始的な特徴,たとえば無数の同形胞子の入った大型の胞子嚢,根毛のない太い根,菌類が共生する円筒形の地中生配偶体などをもち,袋小路的進化をしてきたとみられている。