すこし前まで,ぽつりぽつりとしか咲いていなかったウメの花が,いつの間にか,きれいに咲き誇っています。
新聞にも,今まで気づきませんでしたが「梅だより」が載っています。
いつから載っていたのか調べてみたところ,10日も前の2月14日から載っていました。
今日(2月24日)の朝刊では,「五分咲き」が北野天満宮,二条城,梅宮大社,「ちらほら咲き」が京都御苑は,「つぼみふくらむ」が随心院となっています。
ウメの花は,何かにつけサクラの花と比べられることが多いですよね。
江戸小唄に「梅は咲いたか 桜はまだかいな 柳なよなよ風次第」と唄われているように,サクラの花より1月ほど早く咲きます。
しかしサクラの代表であるソメイヨシノが一斉に咲くのと違い,ウメの花が咲く時期にはかなり幅があります。
サクラが咲いている時にも,サクラ並木に1本だけウメの花が咲いていたりします。
そうなると,同じバラ科で花が似ているので,ウメなのかサクラなのかよく見わけがつきません。
ウメとサクラの違いは,花のつき方にあります。
[写真4]がウメ,[写真5]がサクラです。
ウメの花が枝にくっつくように咲いているのに対し,サクラの花は長い花柄があり,垂れ下がって咲きます。
この違いは実になってもそのままで,梅干しに柄がないのに対しサクランボには長い柄がついています。
梅干しとサクランボに象徴されるように,ウメは地味,古臭いイメージがあるのに対し,サクラははなやかな若々しいイメージがありますね。
ウメという名前でイメージするのは年寄りで,サクラという名前では若い女性をイメージしてしまいます。
ウメの名の由来について,『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,次のように書いてありました。
ウメの花は万葉の昔から人びとに愛され,花見(観梅)の対象にされてきた。果実も梅干しのほか,漬物,梅酒,シロップ作り,さらに漢方薬の原料などで,曰本人と深いかかわりをもっている。種小名のムメ(mume)もシーポルト(P・Siebold)が初めて来日したとき(1823~30年)に和名にちなんでつけたものである。
このためウメは日本原産と思われがちだが,じつは中国原産で,日本には古くに渡来した植物である。中国最古の詩集『詩経』にも歌われて,古くから果実に薬用,食用などの面で関心がもたれ,花も前漢から唐代にかけて観賞されるようになっていたとされる。日本への渡来は,『古事記』や『日本書紀』にはウメの記述がなく,文献上は『万葉集』に初めて登場することから,7世紀後半ではないかと推測される。ウメの中国での生薬としての名前は「烏梅」といい,「ウメイ」と発音する。この呼び名で日本に渡来し,その後「ウメ」または「ムメ」と訛って発音されるようになったと考えられている。明治時代まではウメとムメ両方でよばれていたが,どちらが主流だったかははっきりしていない。