• シロハラ
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南禅寺参道のマツ並木に降り立ったシロハラ。
逃げないでくれと祈りながら急いでカメラを取り出し,何枚か写真を撮ることができました。
ぶれないように慎重に構えていると,自然に息を止めているものなのですね。
飛び立ったあと,初めて息が苦しいのに気付きました。

シロハラは以前に名前を調べた覚えがあります。(→2006年4月19日
ヒヨドリくらいの大きさの,目立つ模様のない地味な鳥というのが特徴で,時々家の周りでも見かけます。

『小学館のフィールド・ガイドシリーズ1 日本の野鳥』(1989年)には,シロハラについて次のように書いてありました。

ウスリー,中国北部から,日本に渡ってくる冬鳥。薄暗い林の中で生活しているので姿を見る機会は少ないが,個体数がそれほど少ないわけでもない。この鳥も,昔は霞網猟の対象としてたくさんとられていた。
 おもに平野部で生活し,都会の庭にもくることがある。昆虫やミミズなどを主食にしているが,冬には草本の実も食べる。名前は上面が灰褐色で下面が白いことからきているが,これといって特徴のある模様がない地味な鳥である。
 冬,山道を歩いていて,突然,クワッ,クワッとか,シーと大きな声を立てて飛び立つ黒っぽい鳥は,この鳥の場合が多い。
分布:分布は非常に狭く,ウスリー,中国北部。日本には冬鳥として渡ってきて積雪の少ない地方で越冬する。
見分け方:雌雄ほぼ同色。雄は頭の部分が黒味が強く,雌は全体に色が淡く喉が白色。
全長:23cm。(ツグミ亜科)

『山渓カラー名鑑 日本の野鳥』(1996年)には,次のように書いてありました。

 冬の林の地面からキョキョッと鳴いて飛び立つ,尾の先に白斑のある鳥。ウスリー地方で繁殖し, 日本には冬鳥として渡来して積雪の少ない地方で越冬する。対馬でも繁殖期にさえずりが聞かれた例があり,繁殖の可能性もあるが未確認である。
生活 越冬期には低山や丘陵の下生えのある,よく茂った林に棲息する。地上で採餌し,落ち葉をはねのけてミミズや昆虫などを探す。木の実を食べることもある。他のツグミ属の越冬場所と比較すると, もっとも開けた環境に棲むのはツグミで,畑や川原にも多い。アカハラは林のへりや木のまばらに生えた所を好み,葉を落とした枝にも出てきて本の実をついばんだりする。この両種は観察するチャンスも多い。シロハラは林から出ることは少なく,落葉樹林でも,ササなどの下生えが茂っていれば棲息する。 トラツグミは主に,冬も葉を落とさない常緑樹林に棲息する。こうした棲み分けは,地上でよく採餌するという,似た習性を持った鳥が共存していくのに役立っているであろう。
春期の渡去時に短くさえずることがあるが,対馬の御岳では6月に本格的なさえずりを聞いた。木の枝先にとまって「キィチョロリー,キィチョロリー」と聞かれるクロツグミに似た明るい声や,少し濁った「ジィチョロリー, ジジッチリリィー」と聞かれる声で盛んにさえずっていた。地鳴きは「クヮッ」とか「キョッキョッ」という声で,冬期にもよく聞かれる。
見分け方 アカハラとは,脇腹が赤くないこと,尾の先に白斑が出ることに注意して見分ける。