• カナメモチ
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近所の藪のなかに白い小さな花を群生させている木があります。[写真4]

ありふれた常緑の木で今まで気にしていなかったのですが,名前を聞かれてはたと困りました。
モチノキかネズミモチだろうと思っていたものの,花を調べてみると両方とも違います。
モチノキの雄しべは4本,ネズミモチの雄しべは2本なのに対して,この花の雄しべは20本ほどあります。

5枚の花弁に多数の雄しべはバラ科?
バラ科で捜すと,カナメモチが該当しそうです。

『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,カナメモチについて次のように書いてありました。

あかめもち(そばのき,かなめもち)
東海道以西の温暖の地にはえる常緑性の小高木。また生垣として人家に栽植される。葉は有柄で互生,倒皮針状長楕円形,長さ5~10cm,鋭尖頭,基部は鋭形,ふちには細きょ歯があり,葉面は緑色,革質で光沢があり,なめらか,下面は黄緑色で主脈は隆起する。葉柄は1~1.3cmぐらい。托葉は針形で早落性。新薬は紅色をおびて美しく,落葉前にはまた紅葉する。5~6月頃,枝頂に横に7~13cmもひろがる円錐花序を作って,小さな白花が群生する。花軸は無毛でなめらか,皮目がない。がく筒は短かい倒円錐形,がく裂片は三角形,花弁は広楕円形あるいは円形,基部には綿毛があって,花爪となり花が開く時にはそりかえる。雄しべは20本ぐらい。子房は半上位で2室 2本の花柱が並んで立ち基部ではゆ着している。黄色の密腺がある。果実は楕円状球形,径は5mmぐらいで先端に永存性のがく片をのこし,秋から冬にかけて紅色に熟する。〔日本名〕赤芽モチは,新葉の赤いモチノキという意味。要モチはこの材で扇のカナメを作るからであるというが,これは誤りで恐らくアカメの転訛と思われる。蕎麦の木は,この花序の白さをソバの花序になぞらえたもの。そばを稜の意味にとるのは誤りであろう。

・「花軸は無毛でなめらか,皮目がない。」
→[写真2]を見ると,花軸はなめらかです。

・「花弁は広楕円形あるいは円形,基部には綿毛があって,花爪となり花が開く時にはそりかえる。」
→[写真1]を見ると,花弁が反り返り,花弁基部に綿毛が生えているのがわかります。

・「雄しべは20本ぐらい」
→[写真3]の花の雄しべは19本。

・「2本の花柱が並んで立ち基部ではゆ着している。」
→[写真3]を見ると,2本の花柱がくっついて立っています。

・葉は「倒皮針状長楕円形,長さ5~10cm,鋭尖頭,基部は鋭形,ふちには細きょ歯があり,葉面は緑色,革質で光沢があり,なめらか,下面は黄緑色で主脈は隆起する」
→[写真5][写真6]