動物園北の道路脇にオオバンが死んでいました。
見つけた時はハトだと思い,見なかったことにして,そのまま通り過ぎようとしたのですが,何かが違います。
大きさはハトと同じくらいで,全身黒っぽい地味な色をしています。
ハトと決定的に違うのは,足指でした。[写真3]
ハトの細い足指とは違い,またカモ類の水かきのある足指とも違います。
調べてみると,水鳥のオオバンでした。
図鑑には足指について「足指は長く弁状で水上生活に適している」と書いてあります。
こうした足を「弁足」というそうです。
オオバンの特徴は額が白いことなのですが,横向きに寝ているので,額部分が見えません。[写真4]
『山渓カラー名鑑 日本の野鳥』(1996年)には,オオバンの分布について次のように書いてありました。
日本では主に関東地方以北の湖沼や川,池などで繁殖し,少数ながら東海地方以西でも繁殖する。東北地方北部より北のものは,それより南に渡って越冬する。九州でも冬期にはよく観察されるようになるが,これは関東地方以北のものが南下するためと思われる。
「少数ながら東海地方以西でも繁殖する」と書いてありますが,琵琶湖では1980年に初めて繁殖が確認されて以降数が増え,今ではカモ類をぬいて琵琶湖で一番数の多い水鳥となっているそうです。
滋賀県琵琶湖環境科学研究センターのサイトには次のように書いてありました。
オオバンは、これまで冬にごく少数が観察されるだけであった。ところが、琵琶湖尾上近辺のヨシ原で1978年ごろから数百羽のオオバンが越冬をはじめ、1979年からは繁殖をはじめた。1981年には、かなり高密度でオオバンが営巣していることが、西日本ではじめて確認された。オオバンの繁殖は、南湖の赤野井付近のヨシ原でも観察されている。
最近の状況についてバードリサーチニュース概要版2010年3月号には次のように書いてありました。
琵琶湖では2005年の調査開始以来オオバンの増加が著しく,今年1月の調査では3位のヒドリガモ,2位のキンクロハジロを押さえて,琵琶湖で一番多い水鳥になっていることなどが分かってきています。