• フユイチゴ
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フユイチゴに赤い実がなっていました。[写真1][写真2]

冬に実がなるからフユイチゴといいます。
ほふく枝でひろがり,冬でも青々とした葉をつけています。[写真3]
実はいわゆる木イチゴの一種で,食べることができます。
見た目どおり,甘酸っぱい味がします。

枝は地面を這っているので,実がなっていてもあまり目立ちません。
赤いおいしそうな実で,実際甘い味がするのですが,この目立たない実の付き方を見ると,積極的に誰かに食べてもらおうとしているのか疑問に思えてきます。
種子散布動物は何なのでしょうか。

何かが食べて,消化されなかった種が糞と一緒にいろいろな場所にばらまかれている(被食散布)のは確かなのでしょうが,このあたりのフユイチゴの実は被食されているようには思えないのですが。

保育社『原色日本植物図鑑・木本編Ⅱ』(1989年)には,フユイチゴについて次のように書いてありました。

暖地の低山の木陰に普通にある常緑低木。
茎は直立または横斜し,高さ20~30cm,径2~2.5mm,まがった短毛を密生し,分枝する。また別に長い匐枝をだし,長いものは長さ2mに達し,先に新苗を作る。
葉は互生,葉身は心形,5浅裂,鈍頭または円頭,微凸鋸歯縁,幅5~10cm,洋紙質,両面脈に沿って短毛がある。
葉柄は長さ4~9cm,短毛を密生。
托葉は落ちやすく,長さ1~1.5cm,羽裂し,裂片は線形,膜質,有毛。

集合果は赤熟し,食べられる。
小核は乾けばまがった卵形,長さ2mm,網目文様があり,無毛。

・「匐枝」(ふくし)とは,匍匐枝(ほふくし),匍匐茎(ほふくけい),ストロンともいい,地上をはう茎のことで,節から葉や根を出します。

・茎は「まがった短毛を密生」します。
[写真4]は同じ場所のフユイチゴの茎ですが,左側の茎には棘があり,右側のものには棘がありません。
フユイチゴには,棘があるものとないものがあるようです。

・花は「9~10月」に咲くはずなのですが,いつも気付かないうちに花の時期を見過ごしてしまいます。
葉に隠れて見えにくいのだと思います。

・実は集合果です。
1個の花に多数の雌しべがあり,それぞれの子房が果実となって1個にまとまっています。
[写真5]は果実の断面。
1粒1粒の実(小核果)の中に種(小核)が入っているのがわかります。

・核果(小核果)の中の核(小核)は,「乾けばまがった卵形,長さ2mm,網目文様があり,無毛」。[写真6]
この果実には,14個の核がありました。