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子供のころ,父が神棚に松を飾る時に,荒々しい感じのする方が男松(おまつ),柔らかい感じのする方が女松(めまつ)と教えてくれたことを覚えています。
長いこと,男松と女松は,同じ種類のマツの雄木と雌木だと思っていました。

マツが雌雄同株だとしってからは,父が教えてくれた男松と女松とは一体なんだったのかと,ずっと心の片隅にひっかかっていました。
ところが少し前に,門松のことを調べていたら,松飾りは左側に男松,右側に女松を飾るとあるではないですか。
男松と女松は,昔から使われていた一般的な呼称だったのです。
男松とはクロマツのこと,女松はアカマツのことでした。

日本に自生するマツ属には7種ありますが,主なものはクロマツとアカマツの2種です。
クロマツは主に海辺周辺に,アカマツは低山地に生育します。
クロマツは,アカマツより大柄で,枝も葉も太くて長く硬いので,荒々しい感じ,一方アカマツは肌が赤く,立ち姿も優しい感じがします。
対照的なこの2種を,陰と陽,男と女に例えたのは当然かもしれませんね。

[写真1][写真2]は,アカマツとクロマツの立ち姿。
南禅寺と周辺のお屋敷のマツは,ほとんどがアカマツです。
平安神宮前と動物園前の街路樹はクロマツでした。

[写真3][写真4]は,アカマツとクロマツの枝葉。
アカマツの方が,柔らかい感じがします。

[写真5]は,樹肌の比較。
名前の通り,アカマツは赤い肌を,クロマツは黒い肌をしています。

[写真6]針葉の比較。
個体差はありますが,アカマツと比べると,明らかにクロマツの方が長くて太くて硬いです。

南禅寺周辺のマツを見てまわっていて,気づいたことがあります。
たとえば碧雲荘の表門,向かって右側にクロマツが,左側にアカマツが植えられています。
そう思って,南禅寺山門を見ると,周辺にはマツがたくさん生えていて紛らわしいものの,門の右と左の対称的な位置にクロマツとアカマツが1本ずつ植えられています。
民家の門にも,右側にクロマツ,左側にアカマツが植えられているところがありました。

正月の松飾りと同じように,門の左右に男松,女松を植える習慣があるようですね。