オニユリの花が咲いています。
オニユリは真夏の花ですね。
青い空と,白い雲,赤いオニユリの花,セミの声。
夏の記憶の中に,大きな花が風にゆれています。
ユリの名は,花が「揺る」ことからきているという説があります。
ユリは長い茎の先に,頭でっかちの花を咲かせるため,風に吹かれるとよく揺れます。
漢字では「百合」と書き,中国語でも同じ字を使います。
これは,鱗片葉がたくさん重なりあった,ユリ根の形から来たといわれています。
「ユリ」も,「百合」と同じ発想で,寄り集まった鱗片葉(りんぺんよう)の様子から「寄り」が転訛したとか, 「結る(よる)」に由来するとする説もあります。
中国でも日本でも,花よりも根の形に着目するのは,ユリ根を食用としてきた食文化があるためでしょうか。
今でも食用として,コオニユリ,オニユリ,ヤマユリが栽培されています。
中国や日本では,ユリ根を食用としていますが,欧米ではユリ根を食用にするなんて,考えられないことのようです。
『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,次のように書いてありました。
世界中で栽培されている代表的な食用ユリだが,食べているのは中国,朝鮮半島,日本だけである。ユリに対する考え方はヨーロッパと日本ではかなり異なり,たとえばイギリスの園芸植物史家コーツ(A. Coats)は,著書『花の西洋史』のなかで「ユリを食べるくらいなら人を食べたほうがましだ」とさえ書いている。