ヒノキの濃い緑色の枝葉に,茶色く木質化した球果がたくさんついています。
手でちぎり取ると,開いた種鱗からばらばらと種がこぼれ落ちました。
4月に雌花を探したときには見つけるのに苦労したのですが(→2012/4/10),実になると以外にたくさんなっているものです。
4月に受粉した後,5月にはすでに球果の形になっていました。[写真4]
7月になると,表面が茶色く変色しだしています。[写真6]
この後しだいに木質化し,秋には熟して果鱗が割れ,種がこぼれ落ちます。
平凡社『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1999年)には,ヒノキの実について次のように書いてありました。
毬果は秋に熟して赤褐色となり,球形で径8-12mm。種鱗は楯形で,縁は敷石状に接し,外面は不整な4・5角形を呈し,中央に小突起がある。種子はやや円形,赤褐色で光沢があり,径約3mm,側翼はやや幅が狭い。
種は平べっらくて,両側に翼があります。[写真3]
風にのせて,種を遠くに散布するためです。
マツやスギなど,裸子植物の種には翼があるものが多いですね。
小林正明著『花からたねへ-種子散布を科学する-』(2007年)には,次のように書いてありました。
裸子植物は子房をもたないが,種子散布にさまざまな工夫をしている。被子植物は子房を変化させて種子散布をすることができるのに,裸子植物には子房がないので,その分だけ工夫の余地が少ないといえよう。
裸子植物に種子の翼をもつものが多いのは,選択の幅が狭いためと思われる。