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[写真1]2013/9/6
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[写真2]側面
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[写真3]背面
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[写真4]腹面
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[写真5]頭部
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[写真6]中胸背
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[写真7]飛び出した後翅
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[写真8]左:チッチゼミ 右:クマゼミ
石段の上に,見慣れない小さなセミがとまっていました。[写真1]
逃げる様子もなく,手で簡単に捕まえることができました。
強くつかむとつぶれそうなほど小さなセミです。
翅の先までの体長は3cmほど。
クマゼミと大きさを比較してみました。[写真8]
クマゼミの1/3ほどの大きさしかありませんね。
図鑑で名前を調べると,このセミはチッチゼミ(♀)でした。
捕まえたのは初めてです。
なじみがないセミだと思ったら,それもそのはずです。
チッチゼミの主な分布域は本州,四国で,九州には英彦山などごく一部にしか分布していません。
私が子供時代を過ごした福岡には,チッチゼミはいなかったのです。
平凡社『世界大百科事典』(2007年)には,チッチゼミについて次のように書いてありました。
半翅目セミ科の昆虫。日本本土に産するセミの中では最小の種。発音器の背弁がなく,チッチゼミ亜科Tibicininaeに属する。体長18~24mm,前翅の開張48~57mm。体は黒く,体表には銀灰色の鱗毛が生え,中胸背には1対の黄褐色の三角紋がある。翅は透明で,基部にある翅底膜は橙色。翅をたたんだとき,横から見ると後翅の一部が上方に飛び出す。体腹面は赤みを帯びた褐色である。北海道の恵山,本州,四国,九州の英彦山などに分布する日本特産種。平地から山地にかけて見られ,おもにアカマツなどの枝や葉に止まり,チッチッチッ……と単調に鳴き,その声はホソクビツユムシ(キリギリス科)に似る。
・日本本土に産するセミの中では最小の種
「日本本土」では最小の種です。
国内最小のセミは沖縄に棲むイワサキクサゼミで,翅端までの体長20mm前後。
・発音器の背弁がなく,チッチゼミ亜科Tibicininaeに属する
セミ科は発音器の背弁(はいべん)の有無で,セミ科とチッチゼミ亜科に分けられます。
発音器の構造を観察したかったのですが,本個体は♀なので発音器はありません。
・体長18~24mm,前翅の開張48~57mm
本個体は体長22mm,前翅の開帳56mmでした。
・体は黒く,体表には銀灰色の鱗毛が生え,中胸背には1対の黄褐色の三角紋がある
[写真6]
・翅は透明で,基部にある翅底膜は橙色
[写真3][写真4]
・翅をたたんだとき,横から見ると後翅の一部が上方に飛び出す
横から見ると,背中に何か黒いものが盛り上がっているように見えます。[写真2]
小さくて何なのかよくわかりません。
最初,これは寄生虫かなと思いました。
セミには,セミヤドリガなど寄生虫がついていることは珍しくないからです。
しかし写真を拡大して見ると,後翅の一部が前翅からはみ出して,上方に突き出ているのがわかります。[写真7]
どの昆虫も翅は見事なまでにきっちりと折りたたまれているものです。
翅の一部がはみ出しているとは何とも大雑把な畳み方ですね。
何か意味があるのでしょうか。
・体腹面は赤みを帯びた褐色である
[写真4]
・北海道の恵山,本州,四国,九州の英彦山などに分布する日本特産種
日本特産種で,そのうえ主に本州,四国にのみ分布とは,随分狭い生息範囲です。
・平地から山地にかけて見られ,おもにアカマツなどの枝や葉に止まり
低山地のアカマツ・スギ・ヒノキなど針葉樹林に多いそうです。
・チッチッチッ……と単調に鳴き,その声はホソクビツユムシ(キリギリス科)に似る
ネットでチッチゼミの鳴き声を聞いてみると,セミの鳴き声というよりは高周波音のような,電子的なノイズのような音です。
捕まえた場所で目を閉じて,あらためて耳をすましてみると,水路閣を流れる水の音,小鳥の鳴きかわす声,地面から聞こえるコオロギやキリギリスなど虫の声などにぎやかに聞こえてきます。
しかしその中に,チッチゼミの声は混じっていませんでした。
11月上旬くらいまで鳴いているそうなので,気をつけて聞いてみたいと思います。