エノキの木に20羽ほどのイカルの群れがとまっていました。
イカルは冬の間は群れで生活していますが,繁殖期になるとつがいで生活します。
そろそろ単独で生活しだすのではないかと思います。
『山渓カラー名鑑 日本の野鳥』(1996年)には,イカルについて次のように書いてありました。
非繁殖期には数羽から数十羽の群れで生活し,明るい林を移動しながら,ヌルデなどの木の実を食べる。人里近くでは,屋敷林や社寺林のエノキの実をついばんでいるのを見る機会が多い。畑に下りて,大豆や落花生の実を食べることがあり,豆回しなどの地方名がある。
繁殖期は主に低山帯の落葉広葉樹林に棲息する。樹冠部で行動し,ヤマザクラなどの実を食べるが,ガの幼虫や甲虫類などの昆虫も捕える。つがいで生活するが,縄張りとして防衛するのは巣の周りの狭い範囲だけで,数つがいが隣接してコロニー状に営巣することが多い。
産卵期は5~7月,卵数は3~4個,抱卵日数は14日位,巣立ちまでの日数は14日位である。
枕草子の「鳥は」の項に,イカル(斑鳩)が出てきます。
鶴は,いとこちたきさまなれど、鳴く声の雲居まで聞こゆる,いとめでたし。頭赤き雀。斑鳩の雄鳥。巧み鳥。
斑鳩の「雄鳥」と出てくるところを見ると,イカルの鳴き声が喜ばれていたようです。
気になるのは,その前の文ですね。
「ツルはとても仰々しい様子だけれども,鳴く声が宮中にまで聞こえるのは,まことにけっこうだ。」
「雲居」は「宮中」ではなく,そのまま「雲のあるところ」→「天空。天上」とも解せられますが,どちらにしても平安時代には京都にツルがいたということがわかります。