屋根の上にひょっこりとサルが現れました。
一頭だけなので群れのような騒々しさもなく,ふらりとやってきた感じです。
こちらをちらりと見たものの,人目を気にすることなく,屋根の上に蔓延っているクズの茎をかじり始めました。

クズの茎も食べるのか,と感心しながら見ていました。
山にいれば,サルは食べるものには困らない気がします。(冬が問題なのかな?)
ニホンザルは何を食べるのか調べてみると,主に植物を食べる雑食性のようです。
偕成社『ニホンザル観察事典』(2005年)には,次のように書いてありました。

自然のなかのサルの群れは,日の出とともに餌をもとめて遊動生活をしています。山のなかを歩きまわり,木から木へと渡り歩き,自然の恵みを採食します。木の葉や若枝,果実や木の実,やわらかな樹皮もたべます。植物だけではありません。セミなどの昆虫やカタツムリも好物です。海にかこまれた幸島のサルは,海岸でヨメガカサなどの貝もたべます。でも,なにを食材にするかは,群れによってきまっています。どの群れも,なんでもたべるわけではないのです。多くの群れが鳥の卵を好んでたべますが,高崎山の群れはたべません。岡山県の臥牛山の群れはウバユリの根をたべますが,ほかの群れはたべません。こうした食材のちがいは,母から子へと伝えられ,群れの食文化となっています。

ニホンザルというくらいですから,日本にしかいないサルなのでしょうか。
調べてみると,ニホンザルは日本固有種で,日本でも北海道,佐渡島,対馬,沖縄にはいないそうです。
また,いわゆる先進国といわれる国でサルがいる国は,日本だけです。
日本では,サルは昔から身近な存在として民話や伝承,信仰などの対象となっていますが,欧米ではサルに対する認識はまったく日本と異なるそうです。
平凡社『日本動物大百科 第2巻 哺乳類Ⅱ』(1996年)には次のように書いてありました。

 サル類(霊長目)はおよそ7000万年昔に誕生し,熱帯森林の樹上をおもなすみかとして進化してきた。現存する約200種のサルのほとんども,赤道をはさんで北緯250から南緯300のあいだの熱帯・亜熱帯地域に分布し,北アメリカ大陸やヨーロッパ亜大陸には1種も生息していない。いわゆる先進国と呼ばれる国々のうち,野生のサルがいるのは日本だけである。
 日本には,北は青森県下北半島から南は鹿児島県屋久島までの広い地域にわたってニホンザル(Macaca fuscata)がすんでいる。世界のサルのなかでもっとも北に分布する種である。日本人の祖先・縄文人はおよそ1万年昔に日本列島に渡ってきたが,ニホンザルはそれよりずっと以前からすみついていた。もっとも古い化石は山口県秋吉台で見つかった約50万年前のものである。そして縄文時代以降今日までの長い歴史をとおして,日本人は,ごく身近な存在として彼らとさまざまなつきあいをしてきた。だから,サルのすんでいない欧米諸国の人たちと私たちとで,サルに対する認識はずいぶんと異なる。欧米人一般にとってサル類は,未開の暑い地方にすむ多くの野生動物の一員にすぎない。