マンリョウの木に,白い花が咲いているのに気づきました。
その下には,昨秋みのった赤い実がそのまま残っています。
今まで横を通っていても,赤い実に目を奪われて,花が咲いていることに気づきませんでした。

日陰に咲き,緑の葉に隠れて,花びらも小さく,しかし雄しべは目立つ黄色で,目立ちたいのか,目立ちたくないのかはっきりしない花です。
[写真6]は花を縦に切った断面です。
チョウが採蜜に訪れるような構造には,なっていませんね。
ハナムグリがいたので,甲虫が送粉者になっているのかもしれません。[写真8]

平凡社『日本の野生植物 木本Ⅱ』(1989年)には,マンリョウの花について次のように書いてありました。

花は7月に咲き,花序は散形またはときには散房状に分枝し,花序の下にはふつう2~3葉をつけるか,あるいは葉がない。小花柄は長さ1~1.5cm,無毛。萼は5深裂し,萼裂片は卵形で円頭または鈍頭,長さ1.5~2mm,両面とも無毛で縁毛もなく,腺点があって,開出する。花冠は白色,径約8mm,5裂し,裂片は卵形で鋭頭,反曲し,両面とも無毛。雌蕊は花冠よりやや長く,子房は卵状球形,無毛,腺点がある。

萼と子房に腺点があると書いてあります。
花柄や花びらにも,花全体にやたらに斑点がありますが,これらも腺点らしいです。
花全体に散らばった腺点が何を分泌しているのかわかりませんが,受粉と何らかの関わりがあるのは間違いないと思います。