スギゴケの一面の緑の中に,白い小さな傘が開いていました。[写真1]
キツネノハナガサです。
平らに開いた紙細工のような円い傘に,放射状に黄色い稜線が走っていて,名前のとおりパチンと開けた花傘のように見えます。
「キツネの」と付くと,「キツネの嫁入り」を連想させて怪しい感じがするのがいいですね。

保育社『原色日本新菌類図鑑(Ⅰ)』(1987年)には,キツネノハナガサについて,次のように書いてありました。

傘は径2~4cm,円錐形~鑓形からまんじゅう形となり,ついには平らに開いて中央部がややくぼむ。表面の地色は白色で放射状のいちじるしい溝線があって扇のひだ状を呈し,このひだの峰の部分にレモン色粉状の細鱗片を密布し,中盤は濃黄色。肉はきわめて薄く,膜質。ひだは隔生し,幅約2mm,やや疎.白色。柄は4~8cmx2~3mm,根もとはふくらみ,中空,黄色,つばより下に黄色の微毛がある。つばは黄色の膜質で消え去りやすい。

・この個体の傘の径は2.7cmでした。
・[写真3]を見ると,「扇のひだ状」「ひだの峰の部分にレモン色粉状の細鱗片を密布」といった表現がよく当てはまっています。