アリドウシの花が咲いていました。
一つひとつの花を見ると純白の美しい花なのですが,小さくてそれも下向きに咲いているので,あまり目立たない花です。

3月上旬にあれほどたくさん残っていた赤い実も[写真10](→2016年3月7日),全部なくなっていました[写真9]。
地面に萎びた実が散らばっているところをみると,鳥に食べられた訳ではなく,自然に落果したもののようです。[写真11]

平凡社『日本の野生植物』(1989年)には,アリドオシの花について,次のように書いてありました。

花は4-5月,枝先または葉のわきにふつう2個ずつつく。花柄は長さ1-3mm。萼筒は鐘形で長さ1-1.5mm,短毛が散生して先は4裂し,裂片は狭3角形で先が鋭くとがり,長さ1-1.5mm,短毛が散生する。花冠は白色,漏斗形で筒は長さ約1cm,外面は無毛,内面上部に軟毛が密生し,裂片は卵形で先がとがり,長さ約3mm。雄蕊4本は花喉からわずかに外へでて,葯は長さ約2mm。花柱が外く長く伸びるものと伸びないものがある。

・花柄は長さ1-3mm。萼筒は鐘形で長さ1-1.5mm,短毛が散生して先は4裂し,裂片は狭3角形で先が鋭くとがり,長さ1-1.5mm,短毛が散生する。
[写真4]
萼筒(がくとう)とは,萼が合着して筒状になったものをいいます。

・花冠は白色,漏斗形で筒は長さ約1cm,外面は無毛,内面上部に軟毛が密生
[写真5]は花の断面です。
花冠の内側には,軟毛が密生しています。

・雄蕊4本は花喉からわずかに外へでて,葯は長さ約2mm
[写真7]は,花を上から見たところ。
雄しべが4本あります。

・花柱が外く長く伸びるものと伸びないものがある
アリドオシの花は,サクラソウ属の花と同じように(→2016年3月22日)異形花柱花です。
株によって,花筒口から柱頭が飛び出すほど花柱が長いもの(長柱花)と,柱頭が葯より下にある花柱が短いもの(短柱花)があります。
この株の花は長柱花で,柱頭が飛びだしています。
短柱花の株はないか,周辺を探したのですが,みな長柱花ばかりでした。