外に出られなくて,窓ガラスの上を,クロスズメバチがうろうろしていました。[写真1]
この窓は,トラップのようにいろいろな虫を引き寄せては,行く手をはばみます。
力尽きて,床に落ちてしまうものもいます。
1週間前にも,ヒメスズメバチの死骸がありました。[写真14]

多くのスズメバチは黄色と黒色の縞模様をしていますが,クロスズメバチは,白黒のシックな縞模様です。
黄色が白色になっただけで,随分おとなしい印象を受けます。
実際,攻撃性はそんなに強くないようです。

北隆館『新訂 原色昆虫大図鑑3』(2008年)には,クロスズメバチについて次のように書いてありました。

体長11~18mm。黒色で光沢は弱く,斑紋は白色。変異は少なく,各腹節後縁の白帯は細く波状でない。働きバチにはまれに第1腹背板水平部前縁に細い1対の横斑がある。前額部の斑紋は蝶形で頭楯の中央黒帯は完全。体の毛は淡色。♂は秋から冬にかけて出現。ジバチともいう。

・体長11~18mm
この個体の体長は約15mm。[写真3]

・各腹節後縁の白帯は細く波状でない
[写真1]

・前額部の斑紋は蝶形で頭楯の中央黒帯は完全
[写真5]

時期的に,この個体は営巣前の女王バチです。
スズメバチ類の触角は♂が13節,♀が12節あります。
この個体の触角は12節でした。[写真7]

垂直なガラス面を平気で歩くことができるのは,脚先の爪と爪の間に褥盤(じょくばん)と呼ばれる吸盤があるからだそうです。
脚先を拡大して見ると,確かに1対の爪の間に,褥盤らしきものがありました。[写真10]