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[写真1]2018/7/24
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[写真2]2018/7/24
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[写真3]2018/7/28
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[写真4]糸に巻かれた獲物の中身
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[写真5]糞
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[写真6]背面
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[写真7]腹面
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[写真8]眼
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[写真9]眼
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[写真10]眼
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[写真11]触肢
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[写真12]触肢
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[写真13]牙と牙堤歯
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[写真14]歩脚の爪
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[写真15]第1脚
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[写真16]隠れ帯
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[写真17]隠れ帯
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[写真18]腹部背面
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[写真19]腹部覆面
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[写真20]糸いぼ
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[写真21]書肺と外雌器
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[写真22]コガタコガネグモ♀
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[写真23]チュウガタコガネグモ♀
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[写真24]ナガコガネグモ♀
クモの巣に,糸に包まれたニイニイゼミがかかっていました。
大きなクモが牙を突き立て,じっとしています。[写真1]
こんな低い位置のクモの巣に,どうしてセミがかかっているのか不思議です。
4日後には,また別の虫が。[写真3]
こちらは糸でぐるぐる巻きにされていて,何の虫かわかりません。
つまみ取って中を確認すると,ガでした。[写真4]
クモは捕えた獲物に牙を突き立てていますが,そのまま,猛獣のようにむしゃむしゃと食べるわけではありません。
牙から消化液を流し込んで,半消化したものを吸い込むそうです。
だから,噛みついたまま,じっとしているのですね。
捕まえたクモをシャーレに入れていたところ,糞をしました。
白い液状のもののなかに,未消化の小さな破片がたくさん混じっています。[写真5]
虫の糞というより,鳥の糞に似ています。
黄色と茶色の縞模様をした,この大きなクモはコガネグモ♀でした。
八木沼健夫著『原色日本クモ類図鑑』(1986年)には,コガネグモ属について,次のように書いてありました。
頭部は細く眼は頭部の全幅を占める。中窩は横向き。後眼列は強く前曲。中眼域は,長さ>幅,前辺<後辺,♀の触肢に爪がある。牙堤歯がある。3爪。第1脚は蹠節+ふ節> 脛節+膝節,歩脚に刺が多い。♂は♀に比べ極めて小さい。垂直完全円網を張り,かくれおぴをつける。体にふれると,脚をつっぱって網を前後にゆり動かす習性がある。
・頭部は細く眼は頭部の全幅を占める
頭部は幅2mmほどと小さく,眼はそれよりさらに小さいので,拡大した写真でも眼の配置はわかりにくいです。[写真8]
・中窩は横向き
中窩とは背甲中央付近にある凹み。クモの種類により縦向き,横向き,点状がある。
コガネグモグモの中窩は横向きです。[写真6]
・後眼列は強く前曲
クモの眼はすべて単眼で普通は8個あります。コガネグモも8個。
多くは2列に並んでいて,前列のものを前列眼,後列のものを後列眼と言います。
前曲とは,側眼が中眼より前方にある場合(又は,前方から見て側眼が中眼より下にある場合)をいいます。
コガネグモの後側眼は,後中眼よりかなり前方にあります。[写真8]
・中眼域は,長さ>幅,前辺<後辺
中眼域とは,前列と後列の中眼を囲む部分を言います。[写真8]
・♀の触肢に爪がある
クモの♂♀は触肢の形で見分けます。
♀の触肢は先が細くなっていますが,♂の触肢は先が膨らみ,複雑な構造をしています。(シモフリヤチグモの触肢について→2013年2月6日)
この個体は♀なので,触肢に爪があるはずですが,触肢の先を拡大しても,棘がたくさん生えていてどれが爪なのかはっきりしません。[写真12]
・牙堤歯がある
牙堤とは「牙が基節と合う部分の溝で両側の隆起した部分」を言います。
牙堤歯は「牙堤に列生する歯」です。[写真13]
・3爪
クモは歩脚の先に生えている爪の数によって,二爪類と三爪類に分類されます。
二爪類の多くは徘徊性のクモであり,三爪類の多くは造網性のクモです。
三爪類の3本の爪のうち下側の1本は,網の糸につかまるのに役立ちます。
造網性のコガネグモには3本の爪があるはずですが,とても小さくて,デジカメで最大限に拡大しても何本あるかまではわかりません。[写真14]
コガネグモは歩くのは苦手なようで,平面上に置くと肢をバタバタと動かすのですが,あまり前に進みません。
・第1脚は蹠節+ふ節> 脛節+膝節,歩脚に刺が多い
[写真15]
・♂は♀に比べ極めて小さい
付近に♂は確認できませんでした。
同じく,コガネグモについて次のように書いてありました。
体長♀20-30mm,♂5mm。全国にもっとも普通な種で7~8月頃成熟,円網の中央にⅩ字状のかくれおびをつけ,脚を2本ずつそろえてとまる。綱は明け方に作られることが多いが,曇った日では日中でも作る。田舎の子供達がセミとりなどに用いるのは多くはこのクモの網である。地方によってはジョロウグモと称するところがあるが,真のジョロウグモは別の種である。年中行事としてこのクモを戦わせて遊ぶ地方があり,鹿児島県の加治木町や高知県の中村市は有名である。多角形の卵のうを作る。♂は小さく黒褐色で美しくなく,♀の幼体に似ている。分布:本州,四国,九州,南西諸島。
・体長♀20-30mm,♂5mm
本個体の体長は22mm。
・全国にもっとも普通な種で7~8月頃成熟
九条山で見る,大きなクモといえば,ほとんどジョロウグモです。(→2010年10月24日)
コガネグモはあまり見かけることはありません。
過去の記事を検索してみると,14年前に,同じ場所でコガネグモを見ています。(→2004年5月15日)
過去に記事にしたコガネグモ属のクモは,次の通りです。
・コガネグモ 2004年5月15日
・コガタコガネグモ 2006年10月15日 [写真22]
・チュウガタコガネグモ 2005年6月23日 [写真23]
・ナガコガネグモ 2016年10月8日,2008年8月5日,2007年9月30日,2006年8月3日,2002年9月19日 [写真24]
・円網の中央にⅩ字状のかくれおびをつけ,脚を2本ずつそろえてとまる
本個体の円網にある隠れ帯は,X字状ではなく,左下に一部のみがありました。[写真16]
毎日,張り替えているようですが,数日見ていても,X字状に隠れ帯をつけたことはありませんでした。
とまるのは,円網中央に脚を2本ずつそろえてとまっています。