ウドの花が咲いていました。[写真1]
どこかで見たような気がするのは,ヤツデの花に似ているからです。
似ているはずで,ウドもヤツデも同じウコギ科です。
花以外,姿は全く似ていないですが。

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,ウドについて次のように書いてありました。

大形の多年生草本で,山野にはえまた人家に栽培される。高さは1.5m内外。茎は太く,円柱形,緑色,毛があり,しばしばまばらに分枝する。葉は互生して,葉柄は長く,再羽状複葉,細かい毛があり,小葉は卵形,へりにきょ歯がある。夏に茎の上部に大きな散形花序をつけ,多数の柄のあるうす緑色の小花を開く。5個の花弁,5本の雄しべ,下位子房,5本の花柱がある。雄花と雌花の別がある。液果は小球形で熟すると黒くなる。

・大型の多年生草本
近縁のタラノキは木本なのに,ウドは草本。
山菜として同じように食用にされるタラノメは,枝から生えた若芽なのに対して,ウドは地面から生えた若芽です。

・葉は互生して,葉柄は長く,再羽状複葉,細かい毛があり,小葉は卵形,へりにきょ歯がある。
再羽状複葉は2回羽状複葉ともいい,複葉の小葉がさらに複葉になっています。[写真2]
[写真3]は小葉。卵形で,へりに鋸歯があります。
[写真5]は拡大した小葉表面。両面に細かい毛があります。

・夏に茎の上部に大きな散形花序をつけ,多数の柄のあるうす緑色の小花を開く。
散形花序とは,花軸の先に,柄を持つ花が放射状につくものをいいます。
散形花序がさらに複総状に集まり,大きな花序となっています。[写真5]
「散形」はもともと「繖形」と書かれていました。
「繖」が当用漢字でなくなったため「散」が使われたもののようです。
「繖」は「傘」の旧字なので,「傘形花序」と表記した方が,特徴をよく表しているように思います。(ネットを検索すると「傘形花序」の表記も使われていました。)

・5個の花弁,5本の雄しべ,下位子房,5本の花柱がある。
[写真6]
[写真7]は,花柱と雄蕊との間にある花盤に蜜が出ています。
[写真8]は花の断面。子房は花被の下に位置します。(子房下位)
[写真9]は子房の断面。室に分かれ,胚珠が見えます。

・雄花と雌花の別がある。
『日本の野生植物』にも,タラ属の説明に「花序には雄花序と両性花(雌花)序とがある」とありますが,雄花も雌花も,どちらも雄蕊と雌蕊を備えているので,見分けがつきません。
確かに結実している花序と,結実していない花序があります。[写真10]
(もう少し日を置いて結実具合を確認しようとしたのですが,除草されてしまい,確認できませんでした。)