ミヤギノハギ
ミヤギノハギ[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]
ミヤギノハギ(枝)
ミヤギノハギ(枝)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]

ミヤギノハギなのかヤマハギなのか分からなくなってしまいました。
このハギは植栽されたものであり,枝も長く垂れ下がっているのでミヤギノハギだろうと思っていました。
しかし『牧野新日本植物図鑑』(1961年)によるとミヤギノハギの萼は「深く5裂し,裂片は皮針形で先端はとがる」とあります。
この花の萼は4裂です。

ミヤギノハギ(萼)
ミヤギノハギ(萼)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]
ミヤギノハギ(萼)
ミヤギノハギ(萼)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]

同書によると,ヤマハギの「がくは中央部まで深く4裂し,上裂は全縁かあるいは浅く2裂する」とあります。
ヤマハギなのでしょうか。
他の場所の植栽されているハギをいくつかか見て回っても,萼はみんな4裂でした。
ネットで検索すると葉や花の形状に関するネット情報は錯綜していて,かえって訳が分からなくなってしまいました。

『日本の野生植物』(2016年)を見ると,ミヤギノハギの萼は「深く4裂し,裂片は狭卵形,鋭尖頭または鋭頭,萼筒より長く,背軸側裂片は他よりも長い」とありました。
ミヤギノハギの萼は4裂が正解のようです。
牧野植物図鑑は誤植?
しかし最新改訂版(2017年)でもミヤギノハギの萼は「深く5裂」となったままです。

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)のミヤギノハギの項

1233.みやぎのはぎ(なつはぎ) [まめ科]
Lespedeza Thunbergii Nakai (=L。 penduliflora Nakai)
 本州,東北地方に自生があるといわれるが多くは人家に植えられる落葉性のやや草本状の低木。茎は束生し上部はそりかえって曲り,花が咲く頃には枝先がしばしば地に着くようになる。高さ1~5mぐらい,全株には網状の伏毛があり,茎は汚紫色をおびるものがある。葉は互生して葉柄をもった3出複葉。小葉は楕円形,両端とも次第に細くなって鋭形,表面は深緑色で無毛 裏面は淡緑色で毛が多い。通常9月に入って,梢の小枝上の葉腋から,総状花序を出し,美しい花を多数つける。花期は長くその花柄はいちじるしく伸びる。がくは深く5裂し,裂片は皮針形で先端はとがる。旗弁は楕円形で強く外側にそりかえり,紅紫色であるが,翼弁は淡色,竜骨弁は翼弁よりも長く青紫色で鎌状に曲がる。雄しべは10本,上側の1本をのぞいて他の9本は花糸がゆ着し1体となる。豆果は広楕円形で細毛があり,中に1個の種子を生じ,熟しても裂けない。しかし種子の実るものは少い。 〔日本名]宮城野萩の意味。本種がもと仙台市附近の宮城野から出たためであるという説と,美しい花を開くので美称として宮城野とつけたにすぎないという説と2説がある。夏萩はしばしは秋に入る前に,咲くことがあるため。

ミヤギノハギ(花序)
ミヤギノハギ(花序)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]
ミヤギノハギ(花)
ミヤギノハギ(花)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]
ミヤギノハギ(花)
ミヤギノハギ(花)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]

「雄しべは10本,上側の1本をのぞいて他の9本は花糸がゆ着し1体となる。」

ミヤギノハギ(雄しべ)
ミヤギノハギ(雄しべ)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]

「旗弁は楕円形で強く外側にそりかえり,紅紫色であるが,翼弁は淡色,竜骨弁は翼弁よりも長く青紫色で鎌状に曲がる。」

ミヤギノハギ(花弁)
ミヤギノハギ(花弁)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]

「葉は互生して葉柄をもった3出複葉。小葉は楕円形,両端とも次第に細くなって鋭形,表面は深緑色で無毛 裏面は淡緑色で毛が多い。」

ミヤギノハギ(葉)
ミヤギノハギ(葉)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]
ミヤギノハギ(葉)
ミヤギノハギ(葉)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]
ミヤギノハギ(葉裏)
ミヤギノハギ(葉裏)[ in南禅寺草川町 on2022/9/28 ]