シイの根元に生えたセンリョウに赤い実がなっていました。
茎の先端に濃い緑色の葉が十字形にひらき,真ん中に鮮やかな赤い実が,まるで盛り付けられた料理のように置かれています。
いかにも鳥に被食散布を勧めるやりかたです。
よく似たマンリョウの実が葉の下に隠れるようになるのとは対照的です。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)にはセンリョウについて次のように書いてありました。
297. せんりょう〔せんりょう科〕
Chloranthus glaber Makino
中部地方より南の山林の樹の下にはえる常緑の小低木。茎は群生し,高さ50~80cm,緑色でやや草質,節が隆起している。葉には短い柄があり対生し,卵状長楕円形あるいは皮針状長楕円形で長さは6~14cm,先端は鋭尖形基部はくさび形又は鋭形,葉の半ばから上には波状きょ歯をそなえ,薄い革質,葉質,鮮緑色,なめらかでつやがあり,たいらである。夏,頂に短い複穂状花序をつけ,2~3分岐し,無柄の黄緑色の細花をつける。花には花被がなく,おしべは1個で分岐せず,子房の外壁にそって着いている。花がすむと小さな球果ができる。これは冬になって熟すると,赤色,まれに黄色になる_ 〔日本名〕ヤブコウジ科のマソリョウ(万両)に対して千両の意である。両者は一見非常に近縁のようであるが,花の構造は全く異なり類縁は非常に遠い。土佐(高知県)でセソリョウというのは本種のことではなくてマソリョウのことである。〔漢名〕接骨木。他に同名の別のものがある。漢名の珊瑚は別のものをさす。
「花がすむと小さな球果ができる。これは冬になって熟すると,赤色,まれに黄色になる_」
球果とありますが,一般的に球果とは針葉樹がつくる果実のことをいいます。
球状の果実の意で,区分的には核果(石果)です。
センリョウの葉の上に葉脈だけになった小さな葉がくっついていました。
ケヤキの葉のようです。