トベラの実が割れて,鮮やかな赤い色をした種が顔をのぞかせていました。
ねばねばとした透明な粘液が種を覆っています。

写真を撮っていると,いつの間にか指にくっついていました。
こうやって鳥や動物に付着し,種子散布しているのですね。

トベラ(果実)
トベラ(果実)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]
トベラ(裂開した果実)
トベラ(裂開した果実)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]
トベラ(種子の粘液)
トベラ(種子の粘液)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]

トベラの種子は単に動物にくっつきやすいだけでなく,おいしそうな赤い色をしています。
被食散布と付着散布を同時におこなっているようです。

小林正明著『花からたねへ-種子散布を科学する-』(2007年)には次のように書いてありました。

 粘液による散布は草本に多い。これは”ひっつきむし”と同じく動物が歩く範囲に適応したからである。また粘液はくっ付く力がそう強くないから、種は小さくて軽いものが多い。この方法によるものは全植物種の中でもそう多くない。
 また、果肉と粘液の両方をもっていて、果肉を食べた鳥のくちばしなどに付き、他の場所で枝にこすり付けることがある。結果的に種子が散布される。なかにはウチワサボテンやトベラなどのように、果肉等が粘液状になっていて、動物への報酬と粘液を兼ねていると思われるものもある。被食と付着というように2種以上の散布方式をもつものを、複合散布または二重散布といっている。トベラ、ニガウリなどがこの例とされる。

トベラ(果実)
トベラ(果実)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]
トベラ(果実)
トベラ(果実)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]
トベラ(車輪状の葉)
トベラ(車輪状の葉)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]
トベラ(葉・表面)
トベラ(葉・表面)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]
トベラ(葉・裏面)
トベラ(葉・裏面)[ in岡崎法勝寺町 on2022/12/5 ]