クサイチゴの花が受粉を終えたようです。花びらは散り,雄しべがだらりと垂れ下がり,花柱は枯れはじめ,子房が膨らみ始めています。ひと月ほどすると赤く熟し食べられます。




『牧野新日本植物図鑑』(1961年)にはクサイチゴについて次のように書いてありました。
1055. くさいちご(わせいちご,なべいちご) 〔ばら科〕
Rubus hirsutus Thunb.(=R. Thunbergii Sieb. et Zucc.)
山野に普通にはえる亜低木。葉は多少とも冬を越して緑色である。高さ20~60cmばかり。地下茎は長く横にはい,所々から新芽を出して繁殖する。茎は細長くて弱く,直立または斜上し腺毛を密生して,とげがまばらにつく。葉は互生。奇数羽状複葉,小葉は3~5片,卵状皮針形あるいは卵状長楕円形,鋭尖頭,基部は鈍形または円形,ふちには切れ込み状のきょ歯があり,両面にやや密生する毛があり,長さ3~6cm,幅1.5~3cm。葉柄はしばしば長く,基部に針状の托葉がある。花は前年の枝から側生する短枝の末端に1個つき,径4cmぐらいで白色,がく片は長皮針形,先端は長尾状。両面にもうせん状に短毛を密布する。花弁は5片,水平に開出し倒卵状楕円形,長さ2cmぐらいでがく片とほぼ同長。花が終ると,小形の核果が多数集まって球形となり,赤色に熟して食べられる。大へんよい味と香がする。 〔日本名〕草苺は草になるキイチゴの意味。わせ苺は他のものより早期に熟するため,鍋イチゴは果実の集まりが中空であるのを鍋にたとえた。 〔漢名〕蓬藁は誤り。

茎は細長くて弱く,直立または斜上し腺毛を密生して,とげがまばらにつく。

葉は互生。奇数羽状複葉,小葉は3~5片,卵状皮針形あるいは卵状長楕円形,鋭尖頭,基部は鈍形または円形,ふちには切れ込み状のきょ歯があり,両面にやや密生する毛があり,長さ3~6cm,幅1.5~3cm。葉柄はしばしば長く,基部に針状の托葉がある。



がく片は長皮針形,先端は長尾状。両面にもうせん状に短毛を密布する

花弁は5片,水平に開出し倒卵状楕円形,長さ2cmぐらいでがく片とほぼ同長。



花が終ると,小形の核果が多数集まって球形となり,赤色に熟して食べられる。大へんよい味と香がする
