道脇に誰かが植えたような,端正にこんもりと群生した草がありました。花が咲いているのですが,小さくて地味です。目を近づけてよく見るとヒメオドリコソウに似た唇形花です。調べると,これはトウバナでした。塔花で,花穂の形が塔のように段状に輪生していることによるそうです。

トウバナ
トウバナ[ in一切経谷町 on2023/4/28 ]
トウバナ
トウバナ[ in一切経谷町 on2023/4/28 ]

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,トウオバナについて次のように書いてありました。

2133. とうばな 〔しそ科〕
 Clinopodium gracile 0. Kuntze (=C. confine 0. Kuntze)
 本州,四国,九州,琉球,台湾,朝鮮南部,支那に広く分布し,山野の路ばたに普通みられる多年草である。茎は細く根ざわからむらがりはえ,基部は地をはい,後立上って高さ15~30cmとなる。葉は対生し,5~15mmの柄があり,卵形で長さ1~3cm,幅8~20mm,ふちにはきょ歯があり,やや無毛である。夏,茎の頂に花穂をつけ,短かい柄のある小形の唇形花を数段輪生する。がくは長さ3~4mmで5裂し少し短毛がある。花冠は長さ5~6mmで淡紅色,下唇はやや長い。雄しべ4本のうち2本は長い,果実は4個の分果からなり,分果は平滑でやや偏平な球形となり長さ0.6mm。 〔日本名〕塔花で花穂の形による。

・茎は細く根ざわからむらがりはえ,基部は地をはい,後立上って高さ15~30cmとなる。

トウバナ
トウバナ
トウバナ
トウバナ

・葉は対生し,5~15mmの柄があり,卵形で長さ1~3cm,幅8~20mm,ふちにはきょ歯があり,やや無毛である。

トウバナ(葉・表面)
トウバナ(葉・表面)
トウバナ(葉・裏面)
トウバナ(葉・裏面)

・夏,茎の頂に花穂をつけ,短かい柄のある小形の唇形花を数段輪生する。

トウバナ(花序)
トウバナ(花序)
トウバナ(花序)
トウバナ(花序)

・がくは長さ3~4mmで5裂し少し短毛がある。

トウバナ(花)
トウバナ(花)

・花冠は長さ5~6mmで淡紅色,下唇はやや長い。

トウバナ(花)
トウバナ(花)
トウバナ(花)
トウバナ(花)

・雄しべ4本のうち2本は長い

トウバナ(花)
トウバナ(花)
トウバナ(花・断面)
トウバナ(花・断面)