朝早く,石段のへりにヘビトンボがくっ付いていました。夜活動し,昼間は沢沿いの木に隠れて生活する夜行性の虫なので,自身は隠れているつもりのようです。カメラを近づけても全然動きません。手で掴むと鋭い牙で噛むそうです。

ヘビトンボ
ヘビトンボ[ in南禅寺風呂山町 on2023/7/7 ]
ヘビトンボ
ヘビトンボ
ヘビトンボ(頭部)
ヘビトンボ(頭部)

ヘビトンボの名がついていますが,とまっている姿を見てもトンボには見えません。トンボはいつも翅を拡げているのに対して,ヘビトンボは翅をたたんでとまるためです。翅自体は脈のある透明な翅でトンボとよく似ています。(リンネはトンボもヘビトンボも同じ脈翅目に分類していました。その後研究が進み,現在では別の目に分けられています。)

ヘビトンボ(翅)
ヘビトンボ(翅)

ヘビトンボについて,北隆館『日本昆虫図鑑』(1956年)には次のように書いてありました。(原文は旧字体)

体黄色乃至暗黄,頭部扁平,大きく,後頭の両側に大小4個の黒褐紋がある。単眼やや大で基部黒色,触角はやや連鎖状で前翅長の約1/3,黒色であるが基部2節は暗黄。前胸やや長く,両側に近く太い黒褐縦条を走らしている。脚黄色,脛節の先半及び跗節暗褐。翅は透明であるが微かに暗灰色を帯び,前翅に6-7個,後翅に3個の判然しない大小の円形黄色紋がある。脈は翅の基方並に斑紋上にある部分の黄色を除き暗褐。縁紋部はやや濃色。体長35-45mm,翅開張90-115mm。脈翅目中の大型種。北海道・本州・四国・九州・朝鮮・台湾に分布する普通種で,成虫は6-8月に亙り出現する。わが国において本州の幼虫を俗に,孫太郎虫と称し,小児の疳の妙薬として販売されている。

ヘビトンボ(体長)
ヘビトンボ(体長)
ヘビトンボ(頭部・前胸部)
ヘビトンボ(頭部・前胸部)
ヘビトンボ(頭部・前胸部)
ヘビトンボ(頭部・前胸部)
ヘビトンボ(頭部・前胸部)
ヘビトンボ(頭部・前胸部)

ヘビトンボには単眼が3個あり,脚の跗節の第4節は円筒形です。(同じヘビトンボ目に属するセンブリ科は単眼を欠き,跗節第4節は2裂しています。)

ヘビトンボ(?節)
ヘビトンボ(跗節)