道にタマムシが死んでいました。腹端から生殖器らしき管が出たままになっていて,先端に白い塊が付いています。
以前にも同じように管を出したまま死んでいるタマムシがいました。どちらも雄なので雄の生殖器だと思うのですが,なぜ生殖器を出したまま死んでいるのかわかりません。交尾中に死ぬとは思えないのですが。
死んでもタマムシは玉虫で,輝きを失いません。タマムシの体の色は色素によるものではなく,表面の微細な構造によって光が干渉・分光することで発色しているからです。
脚の一本一本から翅の裏,翅に隠れている腹部まで,くまなく構造色になっています。とまっている時も,翅を開いて飛んでいる時も,上から見ても下から見ても輝いて見えるようになっているのですね。
タマムシの雌雄の相違点について,北隆館『新訂原色昆虫大図鑑』(2007年)には,次のように書いてありました。
♂は前種(注:オガサワラタマムシ)と同様に複眼が突出し, 腹端が三角形に刳られ、 体下両側の軟毛は♀よりも顕著である。
♂は,
・複眼が突出
♀と並べて見ると,確かに胸部の幅が狭い分,複眼が出っ張ている感じはしますが,「複眼が突出」とまでは言えないように感じます。
・腹端が三角形に刳られ
雌雄を見分けるのにはこれが一番わかりやすい特徴です。♀の腹節末端が丸くなっているのに対し,♂の腹節末端はV字に凹んでいます。♂の腹板だけが凹んでいるのは,♂が♀の上に乗って交尾する時に都合がよいためではないかと思います。♂は♀の上に乗り生殖器を伸ばしますが,その際に腹板が丸いと腹板が邪魔になって曲げることができません。
・体下両側の軟毛は♀よりも顕著
♂♀ともに腹板には毛が生えていますが,それほど顕著な差はないように見えるのですが。