2023年10月22日
オオセンチコガネが道の真ん中にひっくり返っていました。珍しくもないのですが,キラキラした姿を見ると,つい拾ってしまいます。
赤銅色と緑色の混じった金属光沢の体は,見る角度によって色相が変わります。角度によっては全体が緑色に見えることもあります。
この個体は,前脛節の外歯全部が同じ向き(下方)を向いているので♀です。(♂は第1外歯だけが前方を向いています)
頭楯の金属光沢も♂に比べて鈍いです。
2023年8月2日
オオセンチコガネの雌がいたので,雄と比較してみました。
オオセンチコガネの雌雄の違いについて,『食糞性コガネムシ標本写真館』によると「♂の前脛節は第一外歯が前方に伸び、下方に3~4歯突出する。また、頭楯の金属光沢が強い。」とあります。
・前脛節の第1外歯の伸びる方向の違い
♀は数個ある外歯全部が同じ向き(下方)を向いていますが,♂は第1外歯のみ前方を向いています。
前脛節の外歯は糞や土を掘り進むのに役立つそうですが,雌雄で第1外歯だけが異なる方向に向いているというのは興味深いですね。
・頭楯の金属光沢の違い
見比べてみると,明らかに♂の頭盾の方が輝いています。
この♀個体は頭盾だけでなく,前胸背板にかけても全体的に金属光沢が鈍いです。
腹面は,♂♀同じように金属光沢がありました。
2023年7月28日
町内の道にオオセンチコガネが歩いていました。キラキラとした金属色の体が目立ちます。
金属光沢は地方によって色彩に変化があります。典型的なオオセンチコガネは金赤色あるいは銅赤色だそうです。滋賀県南部,京都府山科盆地南東部,鈴鹿山地には金緑色の個体が見られ,ミドリセンチコガネと呼ばれています。このあたりの個体も緑色がかっています。
翌日,獣糞が散らばっているところにいろんな虫が集まっていて,オオセンチコガネもいました。糞を運んでいる姿を見るのは初めてです。後ずさりしながら,糞をひっぱています。押すのではなく,引っぱるのですね。
オオセンチコガネの肢ががっしりと太く,大きな歯がついているのは,糞を引っぱるためだと思っていました。しかし糞を引っぱる姿を見ると,特に太くて大きな歯のついている前肢は,宙に浮いていて地面をとらえていません。
餌を引きずる際に使うのは主に中肢と後肢で,これらには長い跗節があり,地面をしっかりととらえています。前肢の大きな歯は何か別の用途があるようです。
前脛節の第1外歯が前方に伸びているので,この個体は雄ではないかと思います。
体長17mm。
2009年9月15日
地面にオオセンチコガネがひっくり返って,肢をばたつかせていました。
オオセンチコガネには金属光沢があり,地方によって色彩に変化があります。
典型的なオオセンチコガネは金赤色あるいは銅赤色だそうです。
滋賀県南部,京都府山科盆地南東部,鈴鹿山地には金緑色の個体が見られ,ミドリセンチコガネと呼ばれています。
この個体も,少し緑色がかっていますね。
「オオ」センチコガネの名がついていますが,センチコガネと比較してそんなに大きいわけではありません。
体長はセンチコガネが14~20mm,オオセンチコガネが16~22mmなので,個体差を考えるとそれほど違いはありません。
オオセンチコガネの方が金属光沢が強く,頭楯(とうじゅん)の形が角ばっているのが見分けるときのポイントのようです。[写真5]
『学研生物図鑑 昆虫Ⅱ』(1990年)には,オオセンチコガネについて次のように書いてありました。
金赤・金緑・金紫・青緑色などの金属光沢がある(地方により色彩に変化がある)。頭楯(とうじゅん)は前方へ発達しており,台形。雄の前脛節(ぜんけいせつ)には鋸歯(きょし)状に歯があるが,3~4本は下側を向く。成虫は4月ごろから獣糞(ふん)や動物の死がいに集まる。成虫は糞を地中へ運びこみ産卵する。幼虫は糞を食べて育ち,幼虫で越冬,翌年成虫となる。体長:16~22mm。分布:千島・北海道・本州・四国・九州・屋久島・済州島・朝鮮半島・シベリア東部など。
センチコガネの「センチ」は「せっちん」で,便所の意味です。
小学館『日本国語大辞典』(1980年)には,「せんち」は『「せっちん(雪隠)』の変化した語。」とあります。
また「雪隠(せっちん」は,「便所のこと」。
同書には,「せっちん」に関する諺が載っていて,どれも面白いのでいくつか書き出してみます。
・せっちんで饅頭
こっそりとうまいことをすること
・せっちんの火事
「やけくそ」のしゃれ
・せっちんの錠前(じょうまえ)
咳ばらいのこと。便所にはいった人は咳ばらいではいっていることをあとから来た人に知らせた。便所の中の咳ばらいは錠をかけたのと同じ効果があるというところからという。
・せっちんへ落ちた猫
《きたなくて手がつけられなところから》つかまえどころがない。
2021年8月6日
道にオオセンチコガネが死んでいました。
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[写真11]オオセンチコガネ