門扉にスズメガが止まっていました。アブラゼミより少し大きな,長細い三角形をしたガです。
背中に埋木細工のように区画された矛形の模様があります。

名前を調べるとエビガラズズメでした。『小学館の図鑑NEO』にはスズメガの最初に載っていました。
「敵が近づくと,はねを開いて体の赤いもようを見せ,おどろかせます。」とあります。かなり近づいて写真を撮ったのですが,この時は翅はひろげませんでした。体をつついて,翅をひろげたところを撮ればよかったなと後悔しています。(翅をひろげたときに見える腹部の縞模様が,焼いたエビの赤い胴体を思わせるところからエビガラの名が付いているとか。)

エビガラスズメ
エビガラスズメ[ in一切経谷町 on2023/10/26 ]
エビガラスズメ
エビガラスズメ[ in一切経谷町 on2023/10/26 ]
エビガラスズメ
エビガラスズメ[ in一切経谷町 on2023/10/26 ]

古い図鑑ですが,北隆館『日本昆虫図鑑』(1956年)にはエビガラスズメについて次のように書いてありました。

 体長 47ー50mm。 開張 100ー120mm。 跗節の爪間の褥盤は退化する。 体翅暗灰色。 胸部は少し褐色を帯び,黒色の縦線を有する。 腹部は背面では灰色であるが,各環節毎に白赤黒の3横帯を具える。 前翅は所により少し茶褐色を帯びる。 内・中・外の各横帯は深く鋸歯状に屈折する2本の細い黒線からなる。 第2及び第3室には黒条がある。 外縁に沿つて黒環を連ねるが, 第3ー4脈上のもののみ明瞭。 翅頂には多少屈曲する黒い斜線が走り, 横脈上には小さい黒環がある。後翅には4本の暗帯が走る。 縁毛は白と暗褐との斑。裏面は暗灰色, 2本の暗帯によつて横切られる。 5ー7月に出現する。 北海道・本州・四国・九州・台湾その他各所に分布し, 幼虫はサツマイモ・アサガオ等の葉を食う。

写真が載っていない時代の図鑑なので,体の特徴が細かに記載されています。背中の模様については「胸部は少し褐色を帯び,黒色の縦線を有する。」としか書かれていません。私としてはかなり気になる模様なのですが。
同じスズメガの仲間のヨーロッパメンガタスズメはこの部分が髑髏のような模様をしていることで有名です。映画「羊たちの沈黙」のポスターでは,ジョディ・フォスターの口にこのヨーロッパメンガタスズメがとまっていました。ショッキングで象徴的なビジュアルが記憶に残っています。