ウワミズザクラの花が散り,入れ代わるようにコバノガマズミの白い花が咲いています。青い茂みのなかに白い花が端正です。

コバノガマズミ
コバノガマズミ[ in粟田口大日山町 on2024/4/19 ]
コバノガマズミ
コバノガマズミ[ in粟田口大日山町 on2024/4/19 ]

 本家のガマズミはまだ見たことがありません。見かけるのはコバノガマズミばかりです。ガマズミとの主な判別点は,コバノガマズミは葉柄が短く,葉の付け根に細長い托葉があることらしいです。
 ガマズミ属検索表(『日本の野生植物』(2016年))によると,

G. 葉柄は長さ2-6mmで,ふつう線形の托葉がある。葉身はふつう小さく,しばしば幅が狭い。萼裂片は長三角形で,花冠は無毛,雄蕊は突出する。
……12. コバノガマズミ

G. 葉柄は長さ(5-)10-25mmで,ふつう托葉はない。葉身はしばしば幅広く,倒卵形~円形。
(略)
H. 枝,葉柄,花序には密に軟毛と束生毛がある。冬芽に毛がある。
(略)
I. 雄蕊は長く突出し, 長さ4-6mmである。花冠の外側には多少毛がある。葉身は両面とも毛があり,裏面には腺点があり,ふつう短軟毛と星状毛がある
……14. ガマズミ

『日本の野生植物』(2016年)には,コバノガマズミについて次のように書いてありました。

高さ1-4mの落葉低木で,枝は灰色,髄は白または褐色がかる。若い枝には4稜があり,帯赤色,細かい星状毛が密にある。冬芽は長さ3-5mmで,4個の有毛の鱗片葉に包まれる。葉は卵形,倒卵形,楕円形,長楕円状披針形,長さ2-9cm,幅1.5-3.5cmで,先端は鋭頭~尾状鋭尖頭,基部はくさび形~円形,不整な歯牙状鋸歯があり,表面はなめらかで,わずかに光沢があり,ほぼ無毛またはまばらに有毛,裏面は無毛かときに細かい腺点があり,脈腋には星状毛が,主脈には長い伏した粗毛があり,下部の縁近くには数個の腺点がある。側脈5-8対で,表面でわずかにへこんでいる。葉柄は短く,長さ2-6mm,密に長い軟毛と細かい星状毛がある。托葉は線形で長さ3-6mm,まれにないこともある。花期は4-6月。散房花序は平頂で,径3-7cm,しばしば長い軟毛が混じった星状毛に密におおわれる。苞は線形,長さ2-8mm,有毛で,早落性。
萼裂片は5個,長三角形で,柔毛がある。花冠は白色,車状,径5-7mmで,無毛,ややにおいがあり,5深裂して,裂片は楕円形または卵形,長さ2-2.5mmである。雄蕊はつねに突出し,花糸は長さ2.5-3.5mm,葯は楕円形で黄色,長さ0.5-1mmである。子房は星状毛でおおわれるが,まれに無毛である。果期は9-11月。核果は球形または楕円形で,長さ5-7mm,暗赤色に熟し,液質である。核は楕円形,長さ5-7mm,扁平ではっきりしない溝がある。染色体数2n=18。本州 (関東以西の太平洋側)・四国・九州の標高50-1300mの丘陵地や山地に生える。

・若い枝には4稜があり,帯赤色,細かい星状毛が密にある。
断面を見ても,シソ科植物の茎のような明確な4角形という感じはしません。

コバノガマズミ(若い茎・断面)
コバノガマズミ(若い茎・断面)

・冬芽は長さ3-5mmで,4個の有毛の鱗片葉に包まれる。
新しい枝の根元に,4個の鱗片が残っていました。

コバノガマズミ(鱗片葉)
コバノガマズミ(鱗片葉)

・葉は卵形,倒卵形,楕円形,長楕円状披針形,長さ2-9cm,幅1.5-3.5cmで,先端は鋭頭~尾状鋭尖頭,基部はくさび形~円形,不整な歯牙状鋸歯があり,

コバノガマズミ(葉・裏面)
コバノガマズミ(葉・裏面)

・表面はなめらかで,わずかに光沢があり,ほぼ無毛またはまばらに有毛,

コバノガマズミ(葉・表面)
コバノガマズミ(葉・表面)
コバノガマズミ(葉・表面)
コバノガマズミ(葉・表面)

・裏面は無毛かときに細かい腺点があり,脈腋には星状毛が,主脈には長い伏した粗毛があり,下部の縁近くには数個の腺点がある。側脈5-8対で,表面でわずかにへこんでいる。

コバノガマズミ(葉・裏面)
コバノガマズミ(葉・裏面)
コバノガマズミ(葉・腺点)
コバノガマズミ(葉・腺点)

・葉柄は短く,長さ2-6mm,密に長い軟毛と細かい星状毛がある。托葉は線形で長さ3-6mm,まれにないこともある。

コバノガマズミ(托葉,葉柄)
コバノガマズミ(托葉,葉柄)

・花期は4-6月。散房花序は平頂で,径3-7cm,しばしば長い軟毛が混じった星状毛に密におおわれる。

コバノガマズミ(花序)
コバノガマズミ(花序)

・苞は線形,長さ2-8mm,有毛で,早落性。萼裂片は5個,長三角形で,柔毛がある。

コバノガマズミ(萼,苞)
コバノガマズミ(萼,苞)

・花冠は白色,車状,径5-7mmで,無毛,ややにおいがあり,5深裂して,裂片は楕円形または卵形,長さ2-2.5mmである。

コバノガマズミ(花)
コバノガマズミ(花)

・雄蕊はつねに突出し,花糸は長さ2.5-3.5mm,葯は楕円形で黄色,長さ0.5-1mmである。子房は星状毛でおおわれるが,まれに無毛である。

コバノガマズミ(花・断面)
コバノガマズミ(花・断面)