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ルリタテハの寄生バチ

2010年10月10日
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9月26日,ホトトギスの傍にはえているシャガの葉裏に,白い繭をかかえたルリタテハの幼虫がいました。[写真1][写真2]

寄生していた虫が体外にでて繭を作ったようです。
家に持ち帰り,何が羽化してくるか観察することにしました。

10月5日,たくさんの小さなハチが羽化。
体長3mmほど,長い触覚があります。[写真3][写真4]

驚いたことに,死んでいると思っていた幼虫が,すこし動いています。
生かさず殺さず,寄生バチが羽化するまでは,生かされているようです。
繭を抱えている様子は,寄生主を守っているようにさえ見えます。
(このあと5日間ほど生きていました)

このハチは何でしょうか。
『原色蝶類生態図鑑(Ⅱ)』(1983年)には,ルリタテハの天敵について次のように書いてありました。

タテハサムライコマユパチの寄生率も高く,同一地域から得た10頭前後の幼虫が全部寄生されていたことがある。この寄生蜂の幼虫はルリタテハの終齢幼虫の末期になって体外に出て繭を作る。1頭の幼虫から150~200頭の寄生蜂が羽化する。この寄生蜂の幼虫を宿したルリタテハの幼虫は終齢期が長くなり,非寄生のそれの2倍に達し,踊化できずに死亡する。

「終齢幼虫の末期になって体外に出て繭を作る」という点からして,このハチは「タテハサムライコマユバチ」か,あるいはその仲間ではないかと思います。
「1頭の幼虫から150~200頭の寄生蜂が羽化する」と書いてありますが,繭の蛹室を数えてみると52個しかありませんでした。

[写真6]は,繭を半分に切った断面。
[写真5]は,繭の周りを覆っている白い糸を取り去ったもの。

繭はかなり硬くて,指でつまんで力をいれてもつぶれません。
だから蛹室は丸い形をしているのでしょうか。
これが柔らかいと,周囲の圧力で蜂の巣のように六角形になってしまいます。

宿主の体から抜け出したたくさんの幼虫が,誰から教わるでもなく整然と積み重なって,一つの繭を作り,それを守るように宿主が抱きかかえる。
自然の不思議さを感じます。

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