• クロコノマチョウ幼虫
  • クロコノマチョウ幼虫
  • クロコノマチョウ幼虫
  • クロコノマチョウ幼虫
  • クロコノマチョウ分布図

ジュズダマの花を写していたら,葉っぱの陰にクロコノマチョウの幼虫がいました。[写真1]
頭を下に中脈に沿って体をのばし,じっとしています。

明るい黄緑色の体色は葉っぱの上では割と目立ちますが,茎にいるとどこにいるのか分からなくなります。[写真3]
カメラのファインダーから目をはずしたとたんに,見失ってしまいました。
地面に落ちたのかと辺りを探したのですが,よく見ると茎にくっついたままでした。

クロコノマチョウはもともと南方系のチョウのようです。
学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」(2006年)によると,クロコノマチョウの分布に関して次のように書いてありました。

『屋久島,種子島,九州中南部,四国南半ではやや多く,平地より1000m程度の山地帯まで見られる。それより寒地に向かうにしたがって一般に次第に個体数が少なく,本州における分布の東北限は神奈川県,千葉県付近。越冬後の成虫は,千葉県,山梨県,長野県,静岡県,愛知県,岐阜県,三重県,島根県,岡山県および四国,九州で確認されている。東北地方では山形県で記録があるが,これは明らかに南方地域からの迷チョウである。以北の地域ではまったく採集例がない。』

[写真5]は同書にあった分布図です。
これを見ると,京都市はぎりぎり分布域に入っていますが,京都府でも京都市より北の地域には生息しないようです。

同書には生態について,次のように書いてありました。

『成虫越冬。越年したチョウは4~5月にあらわれて産卵,第1化(夏型)は6~7月より出現,第2化(秋型)は9~10月に羽化し,越冬にはいる。以上は分布の北限に近い地域や山地帯での発生過程で,暖地(たとえば九州の平地から低山地帯)ではさらに発生回数を増し,夏型は2回にわたって出現する。すなわち第2化は8月中・下旬より第2回目の夏型として出現,第3化が初めて秋型となり10~11月に羽化する。日中は林間・林縁の薄暗い場所に静止しており驚かさなければ飛び立たないが,夕暮れには活発に飛翔し,家屋内などに飛び込むものを見ることがある。草原には決してこのチョウはいない。森や木立で,林内にはほとんど日光がとおらず下草の生え方がまばらか,あるいは林縁,疎林で食草のあるところが生息地となっている。越冬は下草がほとんど生えず,落ち葉が地上に堆積しているような場所で行う。飛び立ったチョウはあまり遠くには逃げず,間もなく地上に静止する。秋季のチョウは日光の直射をきらい日光の直射する場所には決して止まらないが,越冬早春にあらわれるものは日光の直射する場所にも止まることがある。』