10月17日と19日,クロコノマチョウの蛹が次々に羽化しました。[写真1]
1頭目は気がつくといつの間にか飼育ケースの中に成虫が。
2頭目は羽化の瞬間を撮影しようと気をつけてみていました。
18日の夜,蛹の体色が黒ずみ羽化が近そうです。[写真3]
[写真2]は蛹化したばかりの10月5日の様子。
幼虫と同じ薄緑色をした,みずみずしい体表をしています。
蛹化から12日目と14日目に羽化したことになります。
[写真4]は19日朝5時50分に写したもの。
前夜の状態より全体に黒ずみ,殻が浮き上がったように白くなった部分があります。
白い部分は徐々にひろがってゆき,7時過ぎには全体が白っぽくなりました。
羽化の瞬間を今か今かと待っていたのですが,出勤の時間が迫り写真に撮るのをあきらめました。
[写真5]は7時52分の状態。
家人に聞くと10時ごろに羽化したそうです。
羽化した成虫はこのまま冬を越し,4~5月に活動を開始して産卵,
学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」には,クロコノマチョウの生態について次のように書いてありました。
『成虫越冬。越年したチョウは4~5月にあらわれて産卵,第1化(夏型)は6~7月より出現,第2化(秋型)は9~10月に羽化し,越冬にはいる。以上は分布の北限に近い地域や山地帯での発生過程で,暖地(たとえば九州の平地から低山地帯)ではさらに発生回数を増し,夏型は2回にわたって出現する。すなわち第2化は8月中・下旬より第2回目の夏型として出現,第3化が初めて秋型となり10~11月に羽化する。日中は林間・林縁の薄暗い場所に静止しており驚かさなければ飛び立たないが,夕暮れには活発に飛翔し,家屋内などに飛び込むものを見ることがある。草原には決してこのチョウはいない。森や木立で,林内にほとんど日光がとおらず下草の生え方がまばらか,あるいは林縁,疎林で食草のあるところが生息地となっている。越冬は下草がほとんど生えず,落ち葉が地上に堆積しているような場所で行う。飛び立ったチョウはあまり遠くには逃げず,間もなく地上に静止する。秋季のチョウは日光の直射をきらい日光の直射する場所には決して止まらないが,越冬後早春にあらわれるものは日光の直射する場所にも止まることがある。記録された最大産卵数は434個。産卵のときは母チョウは食草の葉にぶらさがるように止まり,卵は3~10個くらい1か所にかためて産みつけられる。』